この度、『中高校生に寄り添う 青春の本棚』という、若者向けの本のブックガイドを出版しました。この本は、学校現場にいる司書教諭や学校司書が直接子どもたちに本を手渡した場面を中心に、この時代の中高校生におすすめの本を紹介したものです。12名で分担執筆し、中高生も執筆しています。紹介冊数は訳130冊。私も紹介していますが、全体の編集も行いました。
章立ては 「1章 心に寄り添う 2章 本の世界へいざなう 3章 未知の扉を開ける 4章 中高生にも絵本を 5章 中高生がすすめる」で、コラム(「『中高生の読書離れ』は本当か」「中高生対象のシリーズや文学賞」・「* YA の担い手たち」)も載せています(高見執筆)。作家の小手鞠るいさんにプロローグエッセイを書いていただき、表紙は、イラストレーターの中村ユミさんにお願いし、素敵な本になりました。図書館や学校図書館に置いていただくとか、お子さんやお孫さんへ、また若者へのプレゼントとして使っていただけると嬉しいです。
私は、定年退職まで38年間、高校国語教師・司書教諭として、高校生と読書に携わってきました。中高校生は、本を読まないと言われていますが、実は本が好きです。統計を取っても、本が好きという子が多いのですが、一番のネックは、時間がないということです。部活で忙しい、塾で忙しい。読む時間がない。その次に多いのは、何を読んでいいかわからない。それから、読みたい本があっても、近くにないとかいう現状があります。また、親御さんが中高校生になると離れてしまいます。小さい時は読み聞かせをするとか、一緒に本を探すとかいうことがあるのですが、大きくなると本の話をしなくなってしまう。いろいろな面で中高生の実像が知られていないのと同時に、読書についても知られていないところがあるのではないかという感じをずっと持ってきました。
この『青春の本棚』の中に生徒たちと触れ合って本を紹介し合ったエピソードが、いっぱい書かれているので、等身大の中高校生の姿も知ってもらいたいと思います。生涯で最も瑞々しい感受性を持ち、自己や人生について深く考えるこの時期にこそ、触れ合ってほしい本がたくさんあります。しかし、何を読んでいいかわからない中高校生は多いし、図書館関係者の方々も保護者の方も、この層への提供に悩む方は多い。絵本や児童書のブックガイドはたくさんあっても、この世代へ向けてのブックガイドはまだまだ少ないのも現状の中、こんな本が欲しいと思いながら作ったのがこの本です。
この本の、大きな意図は「YA層にも、もっとブックガイドを!」ということですが、YAおすすめの本は大人にとっての楽しみや入門書としておすすめ本でもあります。この本は、私たち世代対象の本とはちょっと言えないかもしれませんが、読書にまつわる中高校生の姿を感じてもらったりできる点で読んでいただけたら嬉しいです。いやいや、私たちも、青春の真っただ中かもしれません。(7期生 高見京子)
※『青春の本棚』紹介URL:https://www.j-sla.or.jp/books/
* 事務局 注記:YA( Young Adult)層とは子供と大人の間の世代を指す(出所:wikipedia)
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