2年前の9月、癌闘病記をkissの会へ投稿し健康診断の重要性をお伝えしたが、未だ衰えぬ新型コロナウィルス感染症の影響によって、更に診断を受けずにおられる方がいるのではないかと心痛めている。半年で、病は身体を蝕むのです。
大腸と肺に癌が健康診断で見つかった2018年4月、検査を得て6月に大腸癌を切除し人口肛門(ストマー)を1年間装着、同時に抗がん剤治療をするための静脈留置専用(ポート)を7月に左胸に埋め込み、癌組織が小さくなったところで、同年の12月末に胸腔鏡手術にて左肺を3分の1切除した。
抗がん剤治療の前半(6ヶ月かけて6回投与)副作用はなく安心していたが、後半の投与開始から(昨年4月に終了)、手足が妙に冷たく感じて痺れで動きが思いのままにならない。副作用は置き土産?なのか。
通常、大腸から癌の転移は肺より先に肝臓へあるらしいが、昨年10月の検診で異常はなかった。だが、今年4月の定期検診で肝臓への転移が2箇所見つかり(転移性肝癌)自覚症状は全くないものの、やっぱりきたか「癌のやつ」と自身の身体に起こっていることが不思議に思えた。手術を受けるにあたり今回も、心電図の検査、PET検査・造影剤を使ってのMRI・CT・IOG(肝機能検査)・肝機能のエコー・胸部レントゲン・下肢の血栓検査と、特に今回は、新型コロナウィルスの感染を確認したうえでの検査だ。いつもながら手術前には様々な検査を行うが、ステイホームの期間中に行動を制限されていたせいなのか、体力的に疲れやすくなっていた。
ここ2年間で5回の入院、短期間に4回手術室を訪れて勝手知った?とまではいかないまでも、神聖な領域を見渡し「また、ここに来てしまった」と戦闘態勢に入る自分がいた。手術は「硬膜外麻酔」を先に受けてから全身麻酔と前日の説明に、不安材料を解消すべく手術を受けるまでの注意事項を熟読し、準備万端「手は膝を抱え背中を丸めて」と狭い手術台上で意気込んでいた事に反し、「手は胸元に背中は、そんなに丸めないで」と予想外の声掛けに、イメージトレーニングはバッチリだったのに拍子抜けしてしまった。だが、背中への麻酔針はピンポイントを捉え全く違和感なく、手術に安心して臨めたことは麻酔科の先生に感謝した。
1箇所肝臓の癌組織は奥に大きくあったことから、胆のうを全摘し肝臓3分の1切除し患部を大きく斜めに切除したことで、術後は出血と肝機能の数値がなかなか上がらず、ICUでは予定より長く過ごす事になってしまった。レモンイエローの爽やかな色の血液製剤を何日間か点滴し続けなければならず、この容器には、いったい何人分の特化された血液成分が入っているのだろうかと献血によって恩恵をうけていることに胸が熱くなった。後はご本人の「気合いです。」との担当医の一声で俄然やる気のスイッチが入り、前夜23:30 ICUで心電図の音が途絶えた方の事を尋ねての一言だったのか、「生と死」を意識した瞬間でもあった。
癌転移で気持ちが沈む入院だったが、自粛で活動がままならないステイホーム期間は研究会「ウイメンズ」での、夏の季語を入れた俳句を3句投句する「Web 句会」という画期的な予定が7月にあり、病室では大いに頭を悩ませ暇を持て余す事がなかった。
また、入院を知った同期の仲間は散歩コースを延長して、病院と隣接した公園へ早朝訪れてくれた。新型コロナウィルス感染症によって付き添いや見舞客を制限していただけに、ICUからやっと解放され木洩れ日に溶け込んだ仲間の姿を見つけた時、どれだけ力強く感じたことか、学びを通し心温まる仲間と出会えたことに感謝した。
そんな時に浮かんだ、夏の季語を入れての一句
南風(かち)あたる 窓手振る友へ 生きてます
(7期 梅本)
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