このところ携帯の「歩数計」の実績に精彩がない。年初から7000歩/日を最低目標とし、おおむね順調に推移していたのだが、2月下旬に風邪の症状が出て、時節柄外出を控えたことからペースダウン。体調はほどなく回復したのだが、3月からの「一斉休校」の影響が大きいのかもしれない。

昨年末から母校(小学校)でのボランティア活動を始めた。具体的には愛犬を「安全見守り犬」として登録、指定のタグ(写真参照)をぶら下げて、通学路を散歩しながら児童の交通安全、防犯活動の一翼を担うという、甚だお気楽な活動なのである。いかほど狙い通りの抑止効果を発揮しているかは不明なのだが、少なくとも「歩数計」の目標達成に大きく貢献しているのは間違いない。
「こんにちは!」
「あっ、見守り犬だぁ!」
と元気あふれる子供たちから声がかかると、愛犬は精一杯愛嬌を振りまき、飼い主の背筋もおのずと伸びる。地域社会と接する貴重なルーティンワークとして定着したと思っていたが、見守る対象者が姿を消すとその位置づけも「不要不急」となってしまったようである。

そんな中、ずいぶん前に予約していた本(ユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス』)の貸し出しの順番が回ってきた。前作の『サピエンス全史』に続き、独創的な視点で人類の未来を予測したもので、その内容を要約すると次のとおり。
「飢饉と疫病と戦争に悩まされてきた人類がその課題をほぼ克服し、AIやバイオテクノロジーの進歩により、自らを神のような力を持つ“ホモ・デウス”にアップグレードする道をたどる。そして人類は超エリート人間の小集団と、経済的・政治的な力を全く持たない巨大な底辺層の、役に立たない人間(無用者階級)とに分裂することになる」と警鐘を鳴らす。

この本を読んでいる間に、中国:武漢で発生したCOVID-19がパンデミックとなり、世界各地で非常事態・緊急事態宣言がなされている。人類は疫病を克服したかに見えたが、未知のウイルスは一筋縄ではいかないようだ。ただし、人類はかつてのように神に祈ることしかできないわけではなく、あらゆるテクノロジーを駆使して乗り越えていくだろう。特に印象的だったのは、AIの活用が急速に進む隣国で、個人の行動を(位置情報など)を当局が徹底的に管理して感染防止をはかり、人々がそれを当然のこととして受け止めていることである。まさに「データ至上主義」という未来社会を垣間見る思いがした。

AIが人間を飲み込む社会にならないためにどうすればいいか、著者:ハラリ氏はこう語る。
「テクノロジーを追い求めるだけでなく、自分自身が何者であるか理解することに時間を使うべきだ」
「人間が取り残されないためには、一生を通して学び続け、繰り返し自分を作り変えるしかない」
どうやら画期的な解決策はないようである。振り返ってみれば、我々がRSSCで実践した「学び直し」「再チャレンジ」は自分自身を知るうえで貴重な時間だったのかもしれない。

さて、私も気を取り直して生活のリズムを再構築しよう。東京のサクラの開花が統計開始以来最速。この週末は天候にも恵まれて各地で見頃となるはずだ。新型コロナの予防対策をしっかり頭に入れて、愛犬との「見守り活動」を通学路から桜並木のある通りに変更しよう。私の地元は開花時期の異なる二種類のサクラ(ソメイヨシノ、思川桜:小山市原産)を楽しむことができ、お花見シーズンがかなり長い。ピンクのグラデーションの先に広がる青空を眺め、春の息吹を感じながら体を動かす習慣をキープしよう。なんといってもシニアにとって運動不足は大敵なのである。(7期生 石巻)

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