魂理論と生涯発達心理学
今年度からセカンドステージ大学で「壮年期・老熟期の生涯発達心理学」というタイトルの講義を始めました。人はなぜ生きているのか、生きる目的は何なのか、どうせ死んでしまうのに人生に意味があるのか、こうした問題について、一般的な生涯発達心理学に宗教的情操、宗教的観念を加えてお話しました。受講生からもおおむね好評を得ました。身体と魂は別であり、身体的な死とは別に魂は輪廻転生を繰り返すという考え方は、もう数千年も前から地球上に存在していますが、実は20世紀後半から、キューブラー・ロス、ブライアン・ワイス、エベン・アレキサンダーなどにより、こうした情操や観念に関する心理学的に観察できる客観的な証拠が提出され始めました。さらには、最先端の科学である量子力学の世界で、20世紀的な物理学の常識を超えた現象が数多く観察され、魂や霊界の実在を証明する科学として最も近い存在になりつつあると言われています。科学論としても興味の尽きない大変に面白い問題ですが、心理学的に人生の意味を考える場合、これが事実だとすると、大変大きな示唆を含んだ思想の流れということができます。人は使命を持ち修行するためにこの世に生まれ、修行を果たしてあの世に戻る。さらに生まれ変わって何百年にもわたって修行を続ける。あの世にはすでに死んだ親族、友人もすべて魂として存在しており再会できる。また、お互いに助け合う形で一緒に生まれ変わって修行を続ける。したがって、晩年になっても学習すること、修行することは、次に続くということから無意味ではない。つらいこと、大変なことがあっても人生を生き抜くことに意味がある。また、大いに楽しみ、生命を享受することに意味がある。今の段階ではおとぎ話の域を出ないかもしれませんが、近い将来、科学的に説明される可能性も少なくありません。
大野 久
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