京都には度々行かれている方も多いと思います。
私も、中学の修学旅行以来、何度か訪れていますが、たいてい市内のお寺見学がほとんど。
今回も甲子園でのプロ野球観戦に行き、翌日は京都にでも行こうかということになってました。同行の舎弟(会社の後輩)が、「鞍馬なんか行って見たいけど、階段が多く佐野さんにはムリだと思う」とノタマう。最近、私が駅の階段でもしんどくなっていることを気遣って言ってくれているとはわかっているものの、「なんの!、よし鞍馬に行くぞ!」と牛若丸よろしく言ってしまった。

大阪に泊まっていたので、淀屋橋から京阪電車で京都・出町柳へ。そこから30分ほど叡山鞍馬線にゆられ鞍馬へ。駅前の「油屋」という蕎麦屋で親子丼を食し、階段を数十段登って仁王門(鞍馬山の受付所)へ。もはやその階段だけで、"もう帰ろう"、というほど息が切れている。そこからケーブルカーで5分ほど上る。その険峻なこと。そこの登山道を徒歩で登って行く人たちもいて、たいへんだなあ、などと呑気なことを思っていたことが、実は甘かったということが、後でわかることになる。

鞍馬山は牛若丸(源義経)が遮那王と名乗っていたころ、修行をした山だ。鬼一法眼という武芸の達人に兵法を伝授されたといわれている。鞍馬のカラス天狗達とも修練に励んだのだろう。
階段状になっているが山道を歩き出して、20分あまり無言で歩くと、与謝野晶子・鉄幹の歌碑を右にみながら鞍馬寺金堂に到着。仁王門と本殿金堂の前には狛犬ならぬ「阿吽の虎」が左右に座している。虎は毘沙門天のお使いだとのこと。このあたりでもう力尽きたと思ったら、なんと「牛若丸息つぎの水」というところ。自分ごときが息が切れても当然。息も絶え絶えそこをすぎると、「義経公背比石」。奥州へ下る義経が名残を惜しみ背を比べたという石がある。ここまでくるともう戻ることも出来ない。ひたすらがんばって登り続ける。「大杉権現社」、「僧正が谷不動堂」をすぎる。ここらあたりは牛若丸が跳躍の鍛錬をしたという「木の根道」と言われているところ。杉林が鬱蒼と繁り木の根が露出した神秘的な道。金堂をすぎてからさらに登り続けて30分あまり。とうとう「奥の院 魔王殿」に到着。護法魔王尊という人が650万年前に金星から舞い降りたというころ。まだ人類が生まれていないはずだからかなり昔。ここがほぼ鞍馬山の頂上付近。鞍馬寺は770年に鑑真和上の高弟鑑禎上人が毘沙門天を祀って創建したといわれている。人影もまばらで、厳かな静けさに囲われた、全く下界から幽閉されているような佇まい。

ここからはほぼ下り。逆から登ってこなくてほんとによかったと思わせるほどな急な下り。と言ってもよっこらしょ、よっこらしょと言わなければ歩けないような下山道。30分ほど下り続け、やっと鞍馬寺西門に到着。やっと道路に出てきた。そこから貴船神社に行くと、鞍馬山とは違いここはかなりの人出。貴船川沿いには川床料理という川の上に床を張ったお店が軒を連ねている。

貴船神社のベンチにやっとすわってホッとしていると昨日、今日の晴天が一転、にわかに掻き曇り、驟雨というのか、大降りに見舞われ、山登りで汗だくになったシャツが、今度はズボンまで雨でびしょ濡れ。30分ほど雨の中を歩き、さっき降りた鞍馬駅の一つ手前の貴船駅にやっとの思いでたどり着きました。あとでわかったのだが、貴船神社は雨乞いの社とのこと。

どこか京都のお寺でも見物と思って出かけた旅行でしたが、おもいのほか牛若丸を偲ぶ登山をすることになるとは。でも思い出に残る京都の旅の一日でした。(7期生: 佐野英二)

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