2025年3月8日、RSSCシニアプロボノ研究会所属の市民モニタリングチームは、永石文明先生と共に3回目の水生生物調査を実施しました。前回と同じ埼玉県入間市にある「さいたま緑の博物館」敷地内の2か所(案内所の裏手、水鳥の池)での活動ですが、毎回季節が違うため、今回も新たな発見を期待しつつ、万全の防寒対策で調査にのぞみました。
当日気温は0度、博物館まではさほど寒さを感じませんでしたが、館内案内所の軒下で『つらら』を発見!このサプライズなお出迎えは、極寒での調査を応援してくれているかのようで、調査に向かうメンバー全員が自然界のパワーをいただきました。
最初は、水質調査です。水路と水鳥の池2か所を先生お手製の筒を使用し水質、水温、水質のEC(電気伝導率)を全員で調べ平均値を測定しました。次に調査のメインである池に入り通称ガサガサという網目の細かい「たも網」を使用して生物の採取を開始(今回はメンバーも初ガサガサ体験!)。ガサガサを使って採取した落ち葉をパットに集め、泥だらけの落ち葉を各自がピンセットや指を使って一枚一枚裏表をじっくり観察しながら生物を探す作業スタ―ト。この作業は落ち葉の中で眠っている水生昆虫をたたき起こすようで、多少の罪悪感がありましたが、落ち葉から生物たちを見つけ出すとメンバーが、「いたいた」「これは?」など興奮しながら雪が降る中寒さも忘れ、宝探しのようなゲーム感覚で観察を行い、童心に返った気持ちで調査を実施しました。
今回観察された生物は、魚はミナミメダカ、甲殻類はシナヌマエビとヌカエビ、貝類はヒメタニシ、カワニナ、モノアラガイ、昆虫類ではヤマサナエの幼虫(ヤゴ)が新たな『大発見!』、他にもオオユスリカとトビムシ類(節足動物、大地のプランクトン)の生息が確認できました。前回確認できたガガンボは今回発見できませんでしたが、調査のたびに季節によって変わりゆく生態観察は、まさに四季という恵まれた環境下に生活する私たち日本人の特権であると、感慨深い思いに浸る瞬間でもありました。
一番印象的だったのは採取し直後の生物たちの生態の違いでした。動きが鈍い甲殻類、触角を出している貝類、魚類は元気に泳ぎ、ヤゴの幼虫は睡眠中と多種多様な生態から、まさに自然の中における生命力の強さや、生き物が厳しい環境と共存することによって繋いできた、それぞれの生命の絆と繁栄の歴史を実感しました。
調査終了後は、野鳥・植物・森林観察を散策しました。園路は冬場に枯れて刈り取られたヨシが敷かれた(これもまさに環境保全)散策路で行われました。野鳥の姿が見やすい葉の落ちた冬の森林では、エナガ、コゲラ、ツグミ、アオジなど、多くの野鳥との出会いがありました。赤い実と光沢のある緑の葉が印象的な「あおき」、小さな紫の花の「フラサバ」、高野山では枝を箒にして使っていることから名づけられた「コウヤボウキの種」、クヌギとコナラの葉の違いなど、まだまだ学ぶことが沢山あると実感した自然散策でした。そして冬場のひっそりとした園路を歩いていると、春の訪れを待ちわびるかのように、それぞれの植物が土の中で新緑の季節に向けて充電している、そのエネルギーを足元から感じることができました。同時にそれは自然界から、『力強く生きる!』というメッセージとエールをもらったような感覚でした。

今回も調査と観察を通して、人間は常に自然と関わり自然共存を忘れてはならないという事を気づかせてくる素晴らしい時間でした。
次回春の活動は6月ごろの予定です。このように自然に触れることによって、気づきや学びの多い市民モニタリング活動へ参加してみませんか。興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
市民モニタリングチーム RSSCシニアプロボノ研究会15期ウイックスかおり
【連絡先氏名・メールアドレス】
代表者 ウイックスかおり rsscsrprobonodsk@gmail.com
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