このところ愛車の稼働率が極めて低く、ほとんど駐車場に止まったままといっていい。介護問題を抱えていた頃は実家との往復を含め、年間7,000~8,000kmは走っていたが、それもすべて区切りがつき、この1年間の走行距離は約2,500km。長距離を走るのはゴルフ場へ行くときに限られるし、日常の買い物は“徒歩(ウォーキング)”を選択するようになった。車の調子を維持するためにも、たまにはドライブに出かけようと考えていたが、立春以降の強烈寒波により、雪国でもないのに不要不急の外出を控えるようになっていた。
「この車に乗っている方はなかなか手放さないですからねぇ」
ディーラーの担当は私の考えを見透かしたように、買い替えを勧める気配はまるでなかった。この車(VW・ザ・ビートル:2019年生産終了)に乗り始めて12年が経過。定期点検時に4年間使ったバッテリーを交換、タイヤはまだまだ健在で、各種部品の供給に不安はない。最低でもあと3年は乗るつもりだ。
車での外出に消極的だった理由はもう一つある。年明けから各診療科への通院日が続き、特に精密検査の結果がどちらに転ぶかで、今後の生活設計に大きな影響が出かねないという思いもあり、気分が乗らなかったのである。しかし、スケジュール通り通院ノルマをこなしていくと、血液検査の各項目は想定を上回る改善を見せ、懸案の臓器については、ほぼ無罪放免!上々の首尾だった。
私は今年70歳になる。RSSCを卒業した10年前、私の体の具合はあまり芳しくなかった。なんとか折り合いをつけながら、せめて70歳くらいまでは健康寿命をキープしたいと願っていたが、私の内臓は機能回復する力を残していたのである。巷では「70代は老いと闘う最後のチャンス」と位置付けられているようだが、どうやら望ましい形で節目の年を迎えることができそうだ。
ただし、ここから先はwith〇〇、with△△△で、持病とともに暮らしていくことも覚悟しておかなければならない。先日、とある宴席で10歳ほど年上の先輩からこう励まされた。
「10年しがみつけば、何かできるし、形になると思うよ」
これまで80歳を意識してこなかった私には、とても刺激的なコトバだった。高齢者が運動機能や脳機能を維持するためには、「使い続ける」習慣が大切なのだが、それを妨げる最たるものが「意欲の低下」ということなのだろう。今のところしがみつく対象は定まっていないが、10年続けて取り組めるテーマを見いだすことができたなら、私の70代は満足度の高いものになるのは間違いない。


長い間居座った寒波が去ると、暖かい春の日差しに誘われて、久しぶりにハンドルを握り、近隣の公園の開花状況をチェックしてみることにした。大宮第二公園の梅林では晴れ渡った青空に白梅が鮮やかに咲き誇っていたが(写真上左)、自宅近くの公園の河津桜はようやく咲き始めたところだ。昨年の今頃(3/1)は満開だったのだが(写真上右)、今年はだいぶ遅れているようだ。この公園の河津桜は20本ほどしかないのだが、毎年私に春の訪れを真っ先に知らせてくれる貴重な桜なのだ。
願わくは花の下にて春死なむこの如月の望月の頃
ふと、西行の歌が浮かんできた。そうだ!この春は車を使って“桜の追っかけ”にチャレンジしてみよう。おそらく白河の関を越えるくらいは十分可能だ。70歳になると免許更新時に高齢者講習が義務付けられているようだが、免許返納はまだまだ先。行動範囲の縮小は老化の始まり。まずは今やりたいこと、気になることへの興味・関心を高めておくことにしよう。そこから何か手がかりをつかめるかもしれない。10年が過ぎていくのはあっという間だ。少し気合を入れなおして頑張ってみよう。
(7期生 石巻)
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