RSSCから10年

RSSC6期生 今田悟史

 もしRSSCに3年目のコースがあったら行っていただろうか。専攻科の夏休みが過ぎてもまだゼミでまとめる修了論文のテーマは決まっていなかった。それまで何もしていなかった訳ではない。志木で合宿もした。テーマ探しの旅行にも行った。面白そうな講演会があれば聴きに行った。夏休み中にもゼミを開いた。夏休み前の眩しい光は夏の終わり頃には景色はセピア色に染まって見えた。半年後にはもうここにはいないと思うと、焦りとともに寂しさを感じた。後期に入るともう授業はそっちのけで、ゼミの仲間の多くが関わっていた課外の活動に時間をとられるようになった。修了論文はテーマ決定までにエネルギーを使い果たし、燃えかすで仕上げた。

 問題はRSSC修了後どうするか。ゼミのみんなが同じことを考えていたと思う。3月に入っても何も決まっていないままゼミを延長する形でRSACという団体を作った。とりあえずRSSCを引き継ぐ居場所を求めていた。幸いに、時間の制約も少なく、費用もあまりかからないところを確保できた。RSACを立ち上げて間もなく、居場所の近くの小学校の校長先生から放課後の学習支援の依頼があり、やっと中身も入った。今でも10数人が毎月2回ほど居場所に集まって、3時間以上飽きもせずお酒を飲みながら話し込む姿がある。最初の頃は始めたばかりの学習支援にどのように取り組んだらいいか、ゼミと変わらぬ調子で話していたが、今ではそんな話もしなくなった。

 最初の問いに答えれば、RSSCに3年もいる必要はなかった。修了してから10年でみんな落ち着くところに落ち着いた。10年という歳月を経てもRSACはあまり変わっていない。今でも私より12歳年上の同期が2人いるが、この方たちは現在の私の年齢でRSSCに入学している。今の自分にまた新しいことにチャレンジする意欲が残っているだろうか。それを考えるとまた焦り始める。

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編集チーム 十五期生