この度、研究会ではネイチャーポジティブ(注)実現に向けた一歩を目指して、市民モニタリングチームを発足し、新たな活動を開始しました。RSSCの「環境保全とコミュニティ形成」の講師である永石文明先生からのご指導を頂きながら、先生が長く活動されている水生生物の調査を一緒に行うことを目的とするものです。市民モニタリングの説明会と第1回目の調査を行いましたので、そのご報告させていただきます。

【写真①】

 まず、2024年8月13日にZoomにて説明会を開催しました。永石先生より「市民モニタリングは市民、研究者、行政が連携し、役割分担をしながらモニタリングと保全活動を行っていくもの」であり、そのメリットやデメリット、実際にどのように行うのかなどを説明して頂きました。また先生推奨の参考動画などを事前に見ることにより、各自が活動の重要性をしっかりと認識した上でのスタートとなりました。

 8月24日に行った第1回目の調査は、急遽開催したため少人数ではありましたが、初めての現場での活動は、遠い昔の童心に帰ったようでとても楽しい時間でした。調査場所は”さいたま緑の森の博物館案内所”の裏手にある、湧水の池から流れる小さな小川で行いました。まず最初は、器具を使った水質検査と目視による透明度チェックです【写真①】。その後永石先生が足や手で小川の中をガサガサして網に入ったもの【写真②】をバットに移し、それぞれで生物を探して別のバットに分けるという作業【写真③】。完了したら、近距離で焦点のあう双眼鏡などを使いながら生物を同定し、その数や写真を記録するという活動でした。

                                               【写真②】

【今回の調査で見つけた生物】

ミナミメダカ、ヨシノボリ、カワニナ、マルタニシ、シナヌマエビ、ヌカエビ、イトミミズ、アメリカザリガニ

【写真③】

 調査の成果としては、たくさんのヌカエビがいることが分ったこと。ヌカエビは在来種で、外来のシナヌマエビと競合して数を減らしているのだけれど、ここでは圧倒的にヌカエビの方が多くみられました。先生も報告を受けた博物館職員の方も正しい生態系が保たれている現状を、大変喜ばれていました。参加した我々もそのような成果をとても嬉しく思いながらも、参加していなければ知り得なかった生物多様性保全の厳しい環境を知ることができ、とても良い経験となりました。

 今後も季節ごとに調査を実施する予定ですので、興味のある方はぜひご参加ください。

注:「ネイチャーポジティブ:自然再興」とは、「自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させる」ことで、生物多様性国家戦略2023-2030における2050年ビジョン「自然と共生する社会」の達成に向けた2030年ミッションとして掲げられています (環境省、令和6年版環境白書)

市民モニタリングチーム プロボノ研究会 15期 長江朝子