コロナ禍以前から計画されていた活動がようやく実現し、千石研究会の有志6名は、初めてのオンラインチェックインに戸惑いながらも、2023年9月10日午後、北海道の玄関口、函館の地に降り立ちました。出発直前に台風も手前で消滅し、幸先のよいスタートをきることができました。
「摩周丸」を見学した後は、「金森倉庫」を目指してゆっくりと歩き、「函館ビヤホール」で、北海道ポテトとウィンナーで初めての乾杯!たっぷりとビールが沁みたからだでは坂道は無理でしょう、とのメンバーからの適切な助言により、タクシーでロープ―ウェイの昇り口へ。函館山からは、ここを訪れたことのあるメンバーも驚くほどの、くっきりとした輝きに、圧倒されるほどの<函館市内の宝石箱>の全景を目にすることが出来ました。
山を下り、市電で函館駅まで戻り、ホテル近くのラーメン屋で「函館塩ラーメン」を食して、初日の食の研究活動は無事終了。
翌朝、ホテルのバイキングで満腹になったあとは、各自で朝市を見学したのち、集合して元町地区の美しい街並みを眺めながら、「旧イギリス領事館」や「旧函館区公会堂」「ハリスト正教会」をはじめとする歴史的建造物を見学して、近代の函館の建築が辿った歴史的変遷に触れることができました。そのあとに昼食のお店を探そうとすると、メンバーから別のナビゲーターが現れて先導してくれます。私たちが辿り着いたお店は、「五島軒本店」。大きなホタテが3つも入ったカレーで、また、乾杯!
そのあと、時間に余裕が出来たので、私を残して他のメンバーたちは「カラオケ」という音楽活動に入っていきました。そう言えば、朝から雨が降るはずが全く降らなかった。夜、ホテル近くの海鮮居酒屋で合流して、乾杯!「うに」を箱で頼み、時価ではなく、当日価の「いか刺し」を注文。目が飛び出そうな価格も人数で割れば、飛び出た目も引っ込む普通価格。それに、はるばる函館に来たのだから。こうして2日目の食の研究活動もつつがなく終了。
最終日、北海道で発生した線状降水帯の影響で荒天の予報。私たちは覚悟を決めて来たるべき嵐に立ち向かって行ったのでした。向かった早々、目の前を市電が行ってしまい、次を待つことに。私たちが乗った市電が目的の駅に近づくにつれて、暗雲が立ち込め、雷鳴が轟く始末。「五稜郭公園前」駅で降りたと同時に、身動きできないほどの豪雨に。雨脚が弱まる一瞬の合間を縫って向かいのデパートの喫茶室へ。そこでコーヒーを飲み、雨脚が弱まるのを30分ほど待って出発。振り返ってみれば、間に合わなかった市電に乗っていれば、歩き出している途中で豪雨に見舞われて悲惨なことに。五稜郭タワーに昇り、周囲を見渡すと、何と雨が上がっているではないですか。そのうえ、五稜郭ばかりか、函館山までもがすっきりと見えている。線状降水帯はいずこへ?五稜郭のなかを少し散策したあとは、駅近くの蕎麦屋で最後の乾杯!
あとはこの旅を完結させるだけです。空港行のシャトルバスを待っている間、ひとりがポロリと呟きました。
―遅れているみたい。
飛行機が遅れるのは世の常。自然と言葉が突いて出ます。
―どれぐらい?
―2時間半。
全員が一瞬、ロダンの「カレーの市民」のように固まりました。最後の最後に私たちに落された直撃弾。私たちが遭遇した線状降水帯の影響はあれほどのものでしたが、千歳空港と東京を往復した後、私たちを函館空港で乗せてくれる機材は、たっぷりと影響を受けていたのでした。でも、空港で毛布にくるまることはないでしょう。そうして、航空会社からのお詫びの紙幣が入った封筒を受け取って、ようやく2時間30分遅れで離陸したのでした。
北の大地での私たちの食の研究活動、ならびに街並みや歴史的建造物の見学は、かくの如く完結しました。それは何よりも代わる代わる異なった船頭が現れては、この旅を導いてくれた自然発生的な人システムの存在にあるのかもしれません。そうであるからこそ、千石研究会は、現在も継続している、と言えるのでしょう。
最後に飛行機が2時間30分も遅れた思い出をありがとう。とにかく、全員一致で、楽しかった。
10期生 千石ゼミ 今井敏晴
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