立教セカンド・ステージ大学で「壮年期・老熟期の生涯発達心理学」の講義と本科ゼミを担当している大野です。私の専門は、青年心理学、生涯発達心理学、自我心理学です。研究テーマはアイデンティティ発達、愛の発達、伝記分析です。これまで、青年期の学生に青年心理学を講義していたのですが、私自身の定年退職もあり、立教セカンド・ステージ大学での「壮年期・老熟期の生涯発達心理学」の講義にチャレンジすることにしました。今年で3年目です。学部での青年心理学の講義は、「最近の青年は~」と講義した瞬間に、現に青年である学生から「私は違います」と言われたら成立しないというスリリングな講義なのですが、「壮年期・老熟期の生涯発達心理学」も同じ課題を抱えています。シニアの皆さんにお話しして、共感を得られないと成立しないというハラハラの講義です。しかし、講義のレポートやゼミでの対話の中で、皆さんの人生の一端を垣間見ることができて、研究者としても大いに刺激を受け、新たな発見、考察の機会をたくさんいただいています。心理学的な人格発達の望ましい姿、死んだらどうなるかという日本人が信じてきた宗教的情操、人生についての哲学などを参照しながらお話ししています。当然、理想的なことに比べると「そんな訳にはいかない」話もたくさんあるわけで、また、そのとおりにいかない場合について考えた心理学者や宗教家、哲学者もたくさんいて、深めていくと果てしなく考察は広がっていきます。そうしたことについて、自分の人生を顧みて、すこし反省したり、納得したり、まだまだこれからと次を見据えて考え直したりというプロセスを楽しんでいただきたいという次第です。

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編集チーム 十一期生