ノイシュバンシュタイン城

RSSCに来ている人は海外によく行く人が多いようだ。行く人は何度も行くし、行かない人は全然行かない。行かないのは好き好きだが、行けないのはさびしいものだと思っていた。グアムと中国には行ったことがあるが、遠いところ、ヨーロッパなんてずっとあこがれだった、萩原朔太郎みたいに。ようやく夢が叶って、この夏、某旅行会社のパックツアーで「ドイツ・オーストリア2ヶ国周遊8日間」という旅に夫と出かけた。

成田発着のオーストリア航空で、行きはウィーンで乗り継ぎフランクフルトへ、帰りはウィーンからの直行便を使う。ライン川クルーズ、ケルン大聖堂、ハイデルベルク、ローテンブルク、ロマンチック街道を通ってヴィース巡礼教会、ノイシュバンシュタイン城、ザルツブルク、ハルシュタット湖、弾丸のようにバスで移動しては観光し、最後はウィーンに2泊して、宮殿・寺院・教会・博物館めぐりを楽しんだ。

学校で習って以来好きだったケルン大聖堂は、現代の街の中に古色蒼然と在って、ほこりと重さに身悶えしているようだった。ルートヴィヒ二世の城は、その外観も城内の窓から一望する眺めも非常に美しいのに、ワーグナー歌劇の壁画だらけの内装が残念だと思った。城壁に囲まれた古い町々では、大地の一隅で陣地を守りたいという必死の思いを感じた。

帰国してから「ロード・オブ・ザ リング」三部作の映画を観て、まさにあの地で繰り広げられてきた人々の暮らしを追体験するような気持ちになった。
ずっと地続きの所に住むのは大変な恐怖だろう。旅行の広告で見るばかりだった土地に立っている自分に驚き、来られたことに感謝した。

行ってみて分かったこと。たとえば、飛行機の男女兼用のトイレの上げっぱなしの便座は悲しい。新作映画があると喜んでも、音がうるさくてよく聞き取れず、気づけば寝てばかりで、内容がよく分からずに終わってしまう。そして、西に12時間飛ぶ、という意味。用意したフットレストは有効で、痛めた膝が無事だったことはマル。しかし、水いらずのケア用品を使ってすっぴんで寝ていた顔に雲の上の強そうな紫外線がガンガン当たっていると気づいた時の絶望感たるや!! どうしていつもの暮らしから出てきてしまったのよ!? と地団太踏む思いがした。夜は、フランクフルト空港に着くまで訪れなかったのだ。

ふりかえれば面白い思い出ばかり、旅は、行ってよし、帰ってなおよし、のものだと思う。それなのに、シシィさんという人は30年(ほんとに!?)旅ばかりを続けていたことに驚く。そして、旅先で死んだのだそうだ。お城には筋トレマシンだってあったのに。お化粧だって、食べる物だって、外は家より不自由なのに。でも、国を代表する「顔」として、ウィーンの空港のお土産売り場には、この人とモーツァルトがたくさん並んでいる。

また、今は何人(なにじん)かとか何歳かとかいうことより、スマホやパソコンなどのITを上手に使える人かということの方が重要なのだとも痛感した。使えないとみじめで文盲みたい。だから、もうちょっと使えるように努力しよう、そして、もしまたこんな機会が持てたら、もっとすっきりした荷物で出かけたいなと思った。(7期:安孫子)

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