セカンドステージ大学デビューは車椅子でした

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ボルドーのワイナリー庭園にて

 2015年4月10日(金)、セカンドステージ大学で初めて担当する授業の日、私は車椅子を押されて教室へと向かった。放送大学教養学部を経て立教大学大学院独立研究科(社会人対応大学院)で教鞭をとってきた約30年間、ずっと社会人学生に囲まれていた。今度は待望のセカンドステージ大学だと勇んで授業準備をしていた春休みの一日、スキーで転倒し膝靭帯を2本も断裂してしまった。

 この大怪我で色々学んだことがある。ちょっと大袈裟だが、余生の生き方。スポーツなしの人生は考えられず、前十字靱帯再建手術を受けた。最高齢の患者だと言われた。麻酔が覚めかけたとき「これからが痛みとの戦いだ」と教え子の理学療法士にメールをした。すぐに「痛みは敵ではありません。回復している身体からのメッセージとして付き合うのです」との返事があった。モノの見方を変えることこそ、新しい道につながるのだと悟った。年齢を意識しながらも余りとらわれずに頑張れば、動ける範囲や速さに違いが見えてくる。働くことと休むことのバランスの大切さは身体にもあてはまる。鍛えたら休むことが次の力を生む。寒暖や降雨の兆しも膝が教えてくれる。身体はまさに自然の一部として、メッセージを送ってくれるのだと感謝する瞬間である。

平賀正子
異文化コミュニケーション学部教授
「英語コミュニケーション論」「本科ゼミ」担当