ご紹介文
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『第1回日本版CCRC二地域居住先進自治体サミット』(主催(財)ロングステイ財団)に7期酒井早苗さんはじめ、プラチナ創造研から4名が参加しました。
「生涯活躍のまち」づくりに先進的に取組む4市長のプレゼンテーションと、三菱総研松田智生主席研究員がモデレーターをつとめるパネルディスカッションが催され、
そのレポートを酒井さんにご寄稿頂きましたので、ご紹介いたします。
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開催日時:2016年8月8日(月)13:00~17:30
会 場:日比谷コンベンションホール(日比谷図書文化館)
主 催:一般財団法人ロングステイ財団
プログラム
生涯活躍のまち
- (日本版CCRC)構想について
西田紫郎氏(内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局参事官補佐)
- 先進自治体の取り組み紹介
井口一郎氏(新潟県南魚沼市長)、田村正彦氏(岩手県八幡平市長)、堀内富久氏(山梨県都留市長)、山口伸樹氏(茨城県笠間市長)
- 日本版CCRCの実現に向けたパネルディスカッション
上記の4市の市長に加え、近山恵子氏(社団法人コミュニティネットワーク協会副会長)、弓野克彦氏(社団法人ロングスティ財団理事長)
モデレーター:松田智生氏(三菱総合研究所プラチナ社会研究センター主席研究員チーフプロデューサー)
「生涯活躍のまち」とは
日本版CCRCは近頃「生涯活躍のまち」と訳される。「生涯活躍のまち」とは何か。西田氏は開口一番、日本版CCRCとは「姥捨て山」ではなく、ベースとなったアメリカ版CCRCとは異なると強調した。目指すは「東京圏をはじめとする地域の高齢者が、希望に応じ地方や『まちなか』に移り住み、地域住民や多世代と交流しながら健康でアクティブな生活を送り、必要に応じて医療・介護を受けることができるような地域づくり」であり、地方創生へとつながる。流入する高齢者が満足し、活躍するには、まず、地元の高齢者が満足して活躍できなければ実現しない。従って「生涯活躍のまち」とは、移住施策の結果ではなく、「まちづくり」であると西山氏はまとめた。言い換えれば、主体は地元にある。「『まちづくり』を自分ごとにせよ」とのこの指摘が自治体関係者に浸透していることを期待したい。
先進事例の実際は?
日本版CCRCは構想から実現段階に入りつつあると言われているが、すでに交付金を受け、先行してCCRCに関連する事業(構想の実現に向けた研究・検討、ニーズ調査、地方移住支援、空き家等の活用など)を行っている4市の市長が、各自治体の取り組みを紹介した。
4市はそれぞれの特性を活かした事業に取り組んではいるものの、なかには資源を持ちながらそれを活かしきれていない事例やそもそも構想への理解が不十分な事例もあり、先進的な自治体でさえ実現は緒についたばかりであることを示していた。その中で現実的かつ実際的な事業に取り組む笠間市は、実績を挙げ、着実に進展しているように思われる。先進自治体の事例は今後の方向を示す指針となるものである。笠間市の活動はその意味から貴重であり、他の自治体にとって学ぶものが多くありそうだった。
日本版CCRC実現に向けて
登壇した4市長が互いの事業について、感想を述べる中で、日本版CCRC実現に向けての課題を明らかにした。4自治体に共通している課題は、若い世代の就労支援と移住者確保である。移住者確保の難しさについて、社団法人職員の近山氏は「高齢者は移住を失敗するわけにはいかない。(慎重になる高齢者を)呼び込むにはコンセプトを明らかにすべき」と断言した。市長たちの歯切れの悪さとは対称的な明快な意見だった。
モデレーターの松田氏は、課題解消のポイントとして「コンセプト、資金、人材育成、制度設計」とともに、地域間連携の必要性を挙げた。来場の関係者に向けては、否定的な意見や思考に阻まれること無く、「一歩踏みだす勇気を」と提言して終了した。
タイトルにあった「二地域居住」に関してはほとんど触れられることはなく、その点では消化不良の感はあった。しかし、日本版CCRCに取り組む関係各方面の方々からの情報はやはり貴重だった。とりわけ、近山氏の苦言、「コンセプトを明確に」は自治体のみならず高齢者自身にもあてはまる。私にとっての「生涯活躍のまち」、生活し易い「まちづくり」をどこで、誰としたいのか明確になっているかと問われたのも同然で、思いがけない「夏休みの宿題」を頂戴した。
(7期生 酒井早苗)
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