今年9月、ようやく海外旅行を再開した。コロナ禍の最中は、海外旅行を封印し国内旅行にシフトしていた。東北の山歩きや鄙びた温泉巡りの旅は、自然の中に身を置く心地よさを感じる日本再発見の楽しい時間であった。新型コロナが5類に移行した頃から、今年こそ海外旅行を再開しようと考えた。さて、どこに行こうか。やはり、大好きなイタリア、だな。あれこれ考えていた矢先、韓国大好き人間を自称する姪に韓国旅行に誘われた。う~ん、韓国か。さりながら、ここは海外旅行再開のリハビリを兼ねて3泊4日の韓国行きに乗ることにした。

韓国へは2回訪れている。当時の人気韓ドラ「大長今・宮廷女官チャングムの誓い」を観て、近くて遠い国、韓国に興味を持った。気ままに朝鮮王朝の宮殿や旧市街、北村の韓屋村など訊ね歩いた。朝鮮の歴史や文化に触れる印象深い旅であった。

今回は美味しいものを食す旅。成田空港から2時間ほどで仁川に到着。空港からエアポートバスで50分、漢江を望む韓国のマンハッタン、江南へ。昼に日本を出発しても、夕暮れ時の街歩きを楽しむことができる。ソウルは地下鉄とバスが充実している。早速三日間乗り放題のパスを購入して、ソウル食めぐりの旅を開始した。

ところで、韓国料理といえば、唐辛子たっぷりの辛くて真っ赤なイメージが強いが、伝統的な韓国料理は辛さと無関係。豊かな山の幸・海の幸の食材とショウガ、山椒、ニンニク、朝鮮人参、ナツメ、クコや松の実といった漢方に根ざした食材が融合した薬膳料理である。チャングムは王の食と健康を担うべく医食同源を実践した女官なのだ。

唐辛子が持ち込まれたのは16世紀末の豊臣秀吉による朝鮮出兵説が根強い。農書『増補山林経済』に糸唐辛子やコチュジャンの記述が登場するのは18世紀のことだ。唐辛子が朝鮮に伝わり普及するまでなんと100年以上の時を要した。

韓国における白菜キムチの歴史は浅く、19世紀に最初の記載が見られる。20世紀に入ると糸状から粉状にした唐辛子が使われるようになり、冬の野菜不足を補う保存食として旬の白菜と大根のキムチを漬けるようになった。各家庭では、一年分のキムチを漬けるキムジャンが冬の風物詩として定着した。辛い物を好む極寒の人々はキムチだけでなく、スープや焼肉や麺にも粉唐辛子をたっぷり用いて、真っ赤な韓国料理を作り出した。

広蔵市場

食を知りたければ市場へ行け!最初に訪れたのは、鍾路5街駅近くにある広蔵市場だ。ここは国内最初の公設市場として知られ、キンパブ(のりまき)、トッポッキ、スンデ(腸詰)などソウルフードの屋台がひしめき合っている。店を切り盛りするのは元気いっぱいのおばさんたちだ。名物はピンデットク。緑豆もやしを石臼でひき、豚肉を入れて揚焼きにした分厚いチヂミだ。他にもピビンパプ、カルグクス(手打ちうどん)、ソルロンタン、なんでもそろっている。

ソウルには明洞などの歴史ある繁華街に沢山の韓国料理専門店が軒を連ねている。芹と一緒に食すサムギョプサル、新鮮な牛生肉を使ったユッケ、朝鮮人参たっぷりのサムゲタン、海鮮スンドゥブ、アンコウ鍋、それを食すために地下鉄とバスに乗りまくった。やはり、ソウルっ子で行列の出来ている店で食べるのが間違いない。

食べ歩きの合間に、国立中央博物館へ足をのばした。2005年にリニューアルしたモダンな建物の中に、高麗青磁や朝鮮白磁、仏教彫刻などが数多く展示されている。多くの仏教文化が朝鮮半島を通じて日本に流入した歴史を見ることができる。仕上げはチムジルバン。サウナやエステも楽しめる。

「そうだ、夕食はソウルで食べよう!」そのくらい韓国は近い!うまい!楽しい!(7期生 齊藤 喜久枝)

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