「太極拳」を習い始めて今年でちょうど40年。以前にも何度か紹介したように、現在では自宅以外でも、カルチャーセンター、スポーツクラブ、講習会や各種イベント等で、時間が許す限り太極拳を楽しんでいる。特に近年、春のこの時期に実施されるイベント、例えばスポーツクラブでの「太極拳発表会」やNPO日本健康太極拳協会の仲間らが企画する「青空太極拳(於:晴海トリトンスクエア/左写真)」には必ず参加している。どちらのイベントにも普段はなかなか会えない太極拳仲間も参加したりして、お互いの健康を確認し合っている。

今では「生きがい」ともいえる太極拳であるが、長年にわたり太極拳の“稽古“を楽しんでいると、いつの間にか手の指先や掌に「気」を感じるようになった。特に体の前で両掌を向かい合わせ、空気のボールを抱える姿勢をとると(抱掌)、あたかも磁石のN極同士或いはS極同士が反発するような力を感じ、まるで“透明な風船”を抱えたような感触を持つ。

掌の中心あたりには「労宮」と呼ばれる「気」が出入りする「ツボ」があると言われているので、「気」を感じやすいのかもしれない。その「気」を感じながら太極拳を演舞すると、不思議に心が落ち着き、動きに集中できる。心・息・動の調和を図りながらゆっくり動くのが本来の太極拳の目指すところなので、その目指すべき動きに漸く近づいているのかもしれない。

「気」とはそもそも、東洋哲学・東洋医学では、目に見えない生命エネルギーとされている。すなわち、人体の中を流れ、臓器の機能をサポートし、生命を維持し活力を与える小宇宙(=人体)内のエネルギーであると言われる。「気」が盛んで滞りなく流れていると、人は活発で病気にかかりにくくなり、「気」が衰えて流れが滞ると、疲れやすく病気にもかかりやすくなるとされる(『太極拳の教科書』日本健康太極拳協会楊慧著 新星出版社)。

一方、「気功」は中国で数千年に及ぶ長い歴史を有する心身療法、健康法であり、気功の種類は数千種に及び、体操や呼吸法、瞑想法などを主とするものや、それらを合わせたものなど多様であると言われる。また、気功は内気功(自分の「気」を自分で整える)と外気功(施術者が掌などから気を発して受け手の「気」を高めたりする)に大別される。中国では一般的に内気功が本来の気功とされ、さらに体の動きを伴う「動功」と、動きを伴わない「静功」に分かれている。太極拳は、もともとは武術であるが、現在では代表的な動功とみなされている。また、動きだけでなく、心と息(呼吸)を重視することから、「動禅=動く禅」とも呼ばれている。

このまだまだ奥の深い太極拳を楽しみながら、研究も怠らず、気功としての側面からも優れた健康法であることを、身をもって明らかにできたらと願っている。(7期生 北原)

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