年の初めから大きな地震に見舞われた能登地方をはじめとする被災地の方々には、心からお見舞いを申し上げます。今回の地震の震源地を見てもわかるように、日本列島はまさにプレートやトラフなどの地震発生原因のデパートみたいなところに位置しているんだなぁ…と、改めてその恐ろしさを認識しました。ということは、いつ大きな地震がどこの地域に起きても不思議はない!ということです。
怖い怖い!と思っていたら、今度は羽田空港から目を疑うような航空機の火災の映像が飛び込んできました。なんだか映画を見ているようで、激しい炎が飛行機全体を燃やし尽くしている映像を見て、370人を超える乗客は無事脱出できたのか⁉心臓バクバクでニュースに耳を傾けました。
さて、我が家には正月を上げ膳据え膳でのんびり過ごそうと目論んで、まあいい歳の長男が転げ込んで来ていましたが、鮪のようにゴロゴロしていたその息子が、地震のニュースに飛び起きて「まじか!」と、あたふたと携帯で忙しく連絡を取り始めたのです。
何事だろう!と聞き耳をたてると、何やら飛行機は?新幹線は?といった会話が飛び交います。よく考えてみたら、息子はとある旅行会社に勤めており、中間管理職くらいまではのぼっているらしく、自らが企画した担当地域のツアーの足に影響が出ているかどうかを確認しているようでした。こうした災害の時は、被害の状況や避難している方々の様子など、被災地の情報が中心になるのは当然ですが、実はその他にも想像もできない色々な場所で、大きな影響を受けている人が沢山いるんだなぁ…と、当然のことながら改めて気づきました。幸い息子は九州地方担当だったため、ツアーの足には影響は少なく、遅延程度で済んだようで「やれやれ!」と言って、胸をなでおろしている様子でした。
ところが翌日の二日になって羽田空港の航空機火災では、別のツアーがついに直撃を受け、熊本から羽田に帰るツアーの便が、Uターンして熊本に戻ってしまったようです。担当責任を担っている息子は、「うそだろー!」と、2台の携帯とPCをフル稼働させながら、熊本空港に戻ってしまった32人のツアー客を、どうやって最短で東京まで帰すことができるか!あらゆる手段にトライしながら上司への報告、添乗している部下との連携、延泊のホテル手配、航空会社への確認、振替便の確認やその空港までの移動手段確保、不安を抱えている添乗の部下への行動指南や励ましなどなど、それはもうものすごい勢いで四方八方に連絡をしまくって、あっちがだめならこっちはどうか⁈と、綱渡りの交渉をしているではありませんか。我が家のリビングは正月休みどころではない緊迫した空気に覆われました。
母としては、いくつになってもあどけない子供の頃の姿が記憶から消えなくて、ちょっと要領が悪くてのんびり屋だったあの子が、別人のように仕事をこなしている姿を目の前にして、私はただオロオロ、邪魔にならないように静かにしているしかありません。
さて、このツアーの顛末はさておいて、私としては息子の社会人としての成長を目の当たりにして、頼もしい!と感動する傍らで、どこか心の奥深い部分で、思い出の中に取り残されたような、何と も言えない一抹の寂しさを感じていたのも事実です。と同時に、気が付けば自分もすでに高齢者の仲間入り。子供の成長に一喜一憂するよりも、自分がこれからどう生きて、成長を遂げている子供たちとどう関わっていくか!という老い方の選択が喫緊の重要課題だという事にも気が付いてしまったのです。こんな訳で我が家の正月も、思うことの多い、波乱の幕開けとなりました。(7期生 梅原)
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