オミクロンが猛威をふるっているさなかに、友人に誘われて映画を見に行った。私はそれ程の映画ファンではなく年に数回しか見てこなかった。特に大音響のスペクタル物、アニメ、殺人物は決してみない。だから見るジャンルはとても狭かった。
その映画の題名は「クレッシェンド 音楽の架け橋」。これはパレスチナ人とイスラエル人の演奏家を集めて平和を訴えるクラッシクコンサートをひらくという内容だった。もし、友人からの声かけがなかったら、私は、決してみないジャンルの映画だった。何故なら、パレスチナ、シリア等の中東問題はあまりにも悲惨で、避けて通りたいというスタンスだった。
その映画のラストは無事にコンサートが開催され“シャンシャン”で終わるのかと想像していたが、実際はそうではなかった。その映画にはパレスチナとイスラエル間の爆撃などのシーンは殆どなかったが、パレスチナ人とイスラエル人の憎しみ合いの根深さ、そこで生きる人達の苦悩を垣間見ることが出来た。映画のバックにはビバルディの四季などの美しいクラッシクの名曲が流れていたので、見ていて緊張する事はなかった。
エンディングをみて椅子から立ち上がった時、感動で涙しながら、「日本中コロナ、コロナと騒いているが、私達は何て幸せな国に生きているのだ!!」という気持ちが湧きあがった。(日本の政治が素晴らしい!という訳ではない。誤解のないように)
家に帰り、パレスチナとイスラエルの歴史をネットで調べてみたが、それは大戦後のイスラエル建国からの問題ではなく、紀元前まで遡る根が深いものらしい。
コロナ蔓延から2年、その間、音楽・美術館・映画などのカルチャーに触れる機会が減ってきて、脳への刺激が少なくなったように思う。特に私のような高齢者は老化のすすみが早いように感じる。
確かにコロナは脅威かもしれないが、日々コロナ以上の危険にさらされて生きている人が地球上には沢山いるという事を、今更ではあるが、知ることが出来た映画であった。
これからは、今まで「食わず嫌い」で触れようとしなかったようなジャンルにも挑戦してみようかなと思っている。(7期生 松田 勝子)
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