アフターコロナはウィズコロナ
2021年度に本科のゼミを担当することになりました。年度初めに「まん延防止等重点措置」がかかり、その後「緊急事態宣言」になったり「重点措置」に戻ったりしながら、ゼミとしては一貫してZoomによるリモート会議形式で修了論文に向けての構想発表を重ねてきました。ほんとうは対面授業のほうが望ましいのでしょうが、100年に一度、つまり一生のうちに一回経験するかしないかというパンデミックのもとでは、むしろあまり振り回されずに、安全第一でゼミのパターンを確立できたことは、それはそれで良かったと思っています。後半は、ワクチン接種の普及という新たな条件のもとでまた新たなパターンを模索することになるでしょう。
ところで気になるのは、ワクチンの接種の普及とともにもうじきパンデミックが終息し、元の生活に戻れるというような楽観論がときに語られていることです。2020年の春ならば、SARSやMARSのように局地的な流行で終息し、半年後には何とかなるのではないかといったシナリオも考えられましたが、それをこえるパンデミックになってしまった以上、そう簡単にはいきません。ワクチンの開発・接種、治療薬/治療法の開発、変異株の発生など時々刻々状況が変わるなか、COVID-19が地球上にまん延している以上、感染爆発を回避し、なによりも自分や周囲が感染しないように警戒しつづけなければなりません。また高所得国は自国のことだけ考えるのではなく、低所得国や中所得国での感染対策を支援しないと結局は回りまわって自国でも新たな変異株に苦しめられることになります。今後、変異株だけでなく新たなウィルスが出現しまん延することだってありえます。
そう考えると、完全に「元に戻る」ことなどありえず、ビフォア・コロナが「日常」で、ウィズコロナが「非日常」という考えも誤り。コロナに警戒しながら新しい日常を作り上げるほかはありません。感染爆発収束後のアフターコロナは、じつはウィズコロナの日常化でしかありえないと思っています。
松本康
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