いくつになっても、

心地よいネットワークで!

 私はRSSCとは、その立ち上げのときから関わっていますが、もう今年で11年目になります。当時、大橋総長と笠原副総長の提案でRSSCがたちあがりました。団塊の世代が定年を迎えるとき、その受け皿として、大学がどう社会貢献出来るか、これがRSSC設立の趣旨でした。いわゆる団塊世代の大学進学率は20%に届いていませんでした。私の中学、高校のクラスにも、卒業後、大学へ行かずに就職の道を選んだ友人がたくさんいました。だから立教がシニア大学を立ち上げる意義の中には、いわゆる「学び直し」の意味もありました。この趣旨は現在もRSSCの中に受け継がれています。

ヒマラヤ3000m付近の尾根をトレッキング(アンナプルサ・サウス(7000m)を背に)

 18歳入学の、均一な大学生ばかりではなく,異年齢の学生が同じキャンパスに学んでいることの意義はとても大きいと思います。これは欧米の大学に行くとわかりますが、大学構内を歩いているのは20歳代の若い学生ばかりではありません。若い学生たちに混じって、分厚いシラバスをかかえて30代、40代、あらゆる年齢層の学生が同じキャンパスで学んでいるのです。転職の機会がある意味保障された欧米社会では、卒業して会社で働いていてもまた大学に戻って、新しいキャリアを積んで、次の仕事に生かすというライフスタイルが、当然のことのように選択されています。日本の社会は、労働環境の問題を考えると、一気に欧米型の社会になるわけではありませんが、もっと個人の選択肢が保障される社会になっていけばいいと思っています。

 最初、ゼミのメンバーは私より5歳ほど年長でした(平均年齢はだいたいいつも61−2歳)。5年もたつとそれがほぼ同年齢になり、いまは私の方が少し上といったゼミ生たちとつきあっています。皆で温泉に行ったり、ゼミの後の飲み会も楽しいものです。「この年になって友人が出来るとは思わなかった」という声を聞くと、RSSCに関わってきてよかったと思います。いくつになっても、人間同士、心地よいネットワークでつながっていける場、それが立教セカンドステージ大学だと思っています。

上田 恵介

立教大学 名誉教授

立教セカンドステージ大学 教員