ジャズ・ボーカルを習い始めて10年ほどになるでしょうか。
歌は持って生まれた声質や声量で、習わなくてもプロ並に上手い人も沢山いるので、歌を習うの?と思われる方もいることでしょう。歌は習えば必ず上手くなるものではなく、何年習ってもアレ?の場合もあります。私はカルチャーセンターのグループレッスンから始めて、現在は個人レッスンを受けながら、趣味を楽しむというレベルです。なかなか上達しませんが、知っているスタンダード曲は多くなり、音楽全般の知識は確実に増えつつあります。 ジャズ・ボーカルを習うということは、歌の技術を磨くだけでなく、コード、曲の構成、リズムなど、細かな音楽についての理解やテクニックなどの習得のためですが、まずは譜面通りに歌える様にするという事から始まります。
皆さんは、ジャズのライブのお店に行ったことがあるでしょうか。毎日、高い音楽性と技術を持ったプロのミュージシャンが多くのライブハウスやクラブなどで演奏しています。昔はいわゆる常連でないとその場の空気にいたたまれない疎外感を覚えたりしましたが、最近のミュージシャンは聴きにきてくれたお客を大事にしますから、休憩時間には客席に回って来場のお礼の声掛けをしてくれたりします。
私がライブのお店に行くのは、海外からのミュージシャンのステージや、口コミで良さそうな歌い手や自分の先生、知人の出番に当てて、都内や横浜を主体に足を運んでいます。
最近では多くのお店で「ジャムセッションの日」というのが開催されています。自分で楽譜を持ってお店に出かけて、集まったメンバーで順番に演奏したり歌ったりします。歌の伴奏は通常、ピアノ、ベース、ドラムのトリオが多く、ボーカルは自分の音程に書き換えた読みやすい譜面を渡し、リズムと繰り返し部分、エンディングでなど的確なディレクションができる程度にセッションに通じていることが必須です。
自分の音程の譜面を書くことは、音楽理論を学んでいないものには、大変に時間がかかるのですが、最近では写真のような早見表アプリもでき、自分の譜面が楽にできるようになりました。セッションはカラオケの生演奏版のようなものに近いのですが、同じ前奏で入り方も決まっているカラオケに比べて、伴奏者により違ったり、間奏に特徴を出されたり、と毎回違うものになるのが良さでもあり、緊張でもあります。ボーカルは一人だけでは何も出来ないので、いろんな人との関わり方も学べる場でもあります。
また自分より前に歌う人と曲が重なる場合に備え、譜面は数曲分持参しますが、もし譜面を持参していなくとも自分のキーが分かれば、ジャズのコードが1000曲以上も入っているiReal Proという便利アプリが普及しているので、スマホやiPADを譜面台に置きながら標準の伴奏はしてくれます。
プロやセミプロになると、楽器と対等に歌唱できるスキルとして「スキャット」が重要な要素になり、演奏にすかさず反応して、気の利いたフェイクとかスイング感とかを十二分に発揮してくれます。多くのジャズのスタンダード曲では、歌詞とリズムが同期しているので、リズム感こそジャズ・ボーカルの生命線といわれます。
プロのアドリブを聞いて、自分のスキャットやフェイクに取り入れていくうちに自然と音使い、リズムをしっかり守れば歌詞は自然にノってくると言われますが、アマチュアは、なかなか思い通りになりません。
いつかもっと上手になったら皆様にも私の練習の成果を聞いていただきたいと願うのですが、いつまでたっても満足できる日は来ないでしょう。そうこうしているうちに気力・体力が尽きてしまうこともあり得るので、遠くなく実現させなければと思うこの頃です。(7期生 柴原)
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