秋も深まるというよりもはや冬本番の12月初め、すみだ北斎美術館から隅田川沿い散策と浅草での夕餉を楽しみに、7名ほどの会を催しました。
今日の主目的は、開館1周年を迎えた北斎美術館。普段の常設展のほかに、「めでたづくしの開館1周年記念展!!」という、たいへんわかり易いような、わかりにくいような企画展のネーミング。もともとあまり大きくない美術館ですが、今回は普段の倍以上のスペースを使って展示がされていました。
いま北斎は大変注目されている。国立西洋美術館では現在「北斎とジャポニスム」という展覧会も催されており、天才浮世絵師・葛飾北斎がモネ、ドガ、ゴッホを始め多くの西洋美術に衝撃と影響を与え、また作曲家ドビュッシーの交響曲「海」も北斎の「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」の影響を受けたといわれている。
葛飾北斎(1760~1849)はこの地“すみだ”で生まれ、90年の生涯のほとんどをここ“すみだ”で過ごし優れた数多くの作品を描いた。
すみだ北斎美術館は、昨年(2016年)11月にオープンしたばかりの新しい斬新な建物。展示は北斎の年譜に沿うように作品が展示されているが、説明の多くは最新のタッチパネルで操作して読めるようになっている。創作活動中の北斎と娘阿英(おえい)の実物大のリアルな人形があり、最初はびっくりする。
彼の創作期間は大変長く6歳ころから10代にもかなりの創作をしたようだ。いろいろな流派と関係を持ち、30代のころは琳派の雅号も名乗っていたようだが、40代ころにはどこの流派にも属さないと宣言し独自の道を開いていった。有名な「富嶽三十六景」は70代になってからの作品である。そして「富嶽百景」のなかでなんと、“百数十歳まで努力すれば生きているような絵が描けるだろう”と記したそうだ。凄まじい創作意欲である。
北斎の作品やその生涯に感銘しながら北斎美術館を後にし、近くの相撲博物館や、旧安田庭園の見学に向かったが、日の暮れが早いせいかすでにクローズ。夕闇迫る界隈を隅田川河岸に下り、川べりを散策。地元の小中学生の卒業作成などが壁面にモチーフされてなかなか味わいある道だ。すっかり日は暮れおち、何艘かの屋形船が水面をはしっている。桜の季節や、花火大会の折には、さぞ水面を埋め尽くすほどの船で溢れるのではなかろうか。江戸時代からずっとそんな風景が繰り返されているのかもしれない。蔵前橋、厩橋、駒形橋をくぐり、吾妻橋に到着。そして神谷バー近くの「蕎麦前つるぎ」で朝〆鴨料理を食し、旨い日本酒と蕎麦を堪能した。
北斎に思いを馳せ、大川(隅田川)端を歩き、そして浅草での蕎麦喰いと、江戸っ子気分に浸った初冬の一日でした。
(7期生 佐野英二)
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