先月末に、原宿と表参道を歩きました。目的はゴミ箱探しです。シニア男子がひとり、国内有数の洒落た街でゴミ箱の写真を撮って歩く姿はさぞかし異様であったと思います。探していたのは「スマートゴミ箱」。ある報道資料で興味を持ち、「どこにあるのか?」とインターネットで調べると東海大学・ハウステンボス・表参道で実証実験中と載っていました。
スマートゴミ箱には、天井部分に太陽光パネルが付いています。ゴミ箱内部にはゴミの自動圧縮板とどれだけゴミが貯まったのかを感知するセンサーがあって、太陽光パネルからの電力で作動します。通信装置も装備されていて、センサーで感知したゴミの量をゴミ管理者にリアルタイムで伝える仕組みになっています。更に外に小さなランプがあり、ゴミ箱容量の60%未満なら緑色、60%-80%なら黄色、80%以上なら赤色が点滅します。ゴミ収集担当は、赤色点滅だけを回ってゴミ回収をすれば良く、また利用者も赤色はさけて緑色にゴミを捨てるため利用状況が平準化します。回収後すぐに赤色になるところはゴミ箱不足、緑色が長く続くところはゴミ箱過剰なので、緑色点滅エリアのゴミ箱を赤色点滅エリアに運ぶと最適配置が可能になります。つまりこのゴミ箱、結構smartなのです。
以前、米国フィラデルフィア市では700個のゴミ箱のうち500個をスマートゴミ箱に置き換えた大規模な実験が行われました。その結果、「ゴミ回収頻度は週17回から週3回」「ゴミ収集担当者の人数は33人から9人」「年間コストは230万ドルから72万ドル」になったと報告されています。個人と家庭の断捨離の次は「コミュニティーの断捨離」へという訳です。情報通信技術の進歩は個人情報保護やAI倫理などのさまざまな問題を伴いますが、我々も前向きな関心を持ち続けないとスマートゴミ箱のような発想は出て来ないと思います。たまには、モーターショーやCEATEC(エレクトロニクス機器展示会)に行って最新機器に触れることも必要かもしれません。
最後に、これを書いた背景なのですが、たまたま先月に合った外国メーカー日本法人の日本人トップから「今の日本社会はネットワークやコネクティビティへの意識が低くて、全く遅れている」「あれだけ個人情報保護への意識の高い欧州でもネットワーク技術を如何に使うかの実験が進んでいるのに、、」と少し悲しむように言われました。また最近、中国の若い方からも「日本のネット活用は案外遅れてますね!」と指摘されました。と言う訳で、さまざまなブームを自作自演してきた我々の世代が、好奇心に満ちオフェンシブで「新しいモノ好き」の精神構造を持たないと、ますます世界の発想から遅れるなぁと思った次第です(7期:杉村)。
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