・日時 2016年3月17日(木) 13:15 ~ 14:45
・場所 立教大学 池袋キャンパス セントポールズ会館2F
・講師 宗教人類学者 立教セカンドステージ大学講師 佐藤 壮広 氏
佐藤先生がRSSCで担当されている「歌が照らす人と社会」を受講された方々も多いと思うが、今回の講演では青森:津軽での「仏降ろし」の体験談から始まり、先生が実践された沖縄でのフィールドワークから、死者を感受する職能を持つとされている沖縄本島の民間巫者(ふしゃ)「ユタ」の儀礼調査に基づき、その平和祈念行為の文化的基盤を考察した。
佐藤先生によれば、沖縄本島の平和運動のなかで、生者と戦死者との「交渉」が公的に語られることはない。しかし、民間巫者らが体現している死者慣行の文化は「沖縄からの平和発信」という運動の下支えとなっていると考えられる。
彼女らの土地(シマ)の痛みを感受する身体感覚、戦死者を今なお感受する感性など、その認識や霊的感受性(スピリチュアリティ)をふまえた上で、あらためて「沖縄のいたみ」という語句の内実を検討する作業が求められている。身体の痛みに一歩踏み込んで、それを他者の痛みとして感受し、受容しうる「人間の力」として理解できるか否かが問われているのではないだろうか、とのことであった。
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