『プラド美術館展』鑑賞記名画(美術)鑑賞友の会 日時 2018年5月11日(金) 15:00~16:30
会場 「国立西洋美術館」
企画展 日本スペイン外交関係樹立150周年記念
『プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光』
参加人数 8人(7期生 8期生)
宮廷画家ディエゴ・ベラスケス(1599~1660年)の作品7点が一挙来日。
世界文化遺産に登録されているル・コルビュジェ建築の国立西洋美術館で「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」を鑑賞した。
マドリードにある「プラド美術館」は世界屈指の美の殿堂として知られている。本展ではバロック絵画の巨匠ディエゴ・ベラスケスの作品を中心に、所蔵作品70点が芸術・知識・神話・宮廷・風景・静物・宗教・芸術理論の8章に亘って展示されている。
~ 来日のベラスケス7作品 ~
1. 『王太子バルタサール・カルロス騎馬像』
展覧会のポスターにもなっているバルタサール・カルロス王子(1629-46)はフェペ4世の長男。
5-6歳の王太子は指揮棒を掲げ、両前脚を高く上げ飛び上がる馬は下から見上げると躍動感があり王国の明るい未来を感じるが、王位を継ぐことなく16歳で早逝した。
2. 『狩猟服姿のフェリペ4世』
フェリペ4世(1605~65年/在1621~65年)はベラスケスの主君であり、美術コレクターとしてスペイン王室に膨大な絵画コレクションを築いた。その治世下に3000点以上の絵画を収集し、17世紀スペイン美術の黄金時代を迎えた。
狩猟服を身に着け、猟銃を持ち、猟犬を従えて立つ姿は国王であることを示す道具こそないが威厳が表われている。
3. 『東方三博士の礼拝』
ベラスケスのセビーリア時代20才の作品。ベツレヘムの馬小屋で誕生したキリストを礼拝するためにやって来た東方の三博士。ひざまずく博士には画家本人、それに師匠にして岳父のパチェーコ、聖母マリアには妻フアナ・パチェーコを、幼子イエスには娘のフランシスカをモデルに描いている。
『東方三博士の礼拝』はお宮参りの記念写真のような家族写真
である。
4. 『ファン・マルティネス・モンタニェースの肖像』 5. 『メニッポス』
背景を単純化して描くベラスケスの人物像は、画面の上に明るく浮かびあがり内面の感
情まで描写されているように感じられた。
6. 『マルス』
輪郭は荒いタッチで描かれているが、光と影を取り入れ、少し離れて観ると鉄の武具や兜の金の輝きは見事であった。
7. 『バリェーカスの少年』 道化師の肖像
体の特徴に気づかせないほど自然に「慰みの人々」の姿を率直に、隠すことなく表しながら、一人の人間として描いている。
時代を超えて観る者の感動を呼んでいるベラスケスの偉大さを感じた。
~ 来日しなかった作品 ~
『ラス・メニーナス(女官たち)』 ディエゴ・ベラスケス
『ラス・メニーナス』は今回のプラド美術館展に来ていませんが、私は数年前スペイン、マドリ―ドにあるプラド美術館で鑑賞しています。寸法318cm×276cmの大作。
舞台はフェリペ4世の宮殿の一室で、幼いマルガリータ王女をお付きの女官達が取り囲み、背景の鏡には国王と王妃が映っている。
国王と王妃は鑑賞者と同じ場所に立っていることになる。また、大きいキャンバスに向かうベラスケス自身の姿、「描く人」・「描かれる人」・「鑑賞する人」と様々に鑑賞でき、記憶に残る作品であった。
ベラスケスは17世紀のスペインでフェリペ4世にもっとも信頼された宮廷画家であった。時のスペインは30年戦争(1618―1648)に敗れ、国内各地で内乱が起きていたが、
フェリペ4世の庇護のもと肖像画を数多く描けたことは驚きであり、王の寛大さを感じました。
(矢野 記)
※画像コピーは国立西洋美術館HP展覧会『プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光』より
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