都立古河庭園の散策

 

 新緑が目に眩しい5月14日、北区にある「都立古河庭園」の建物本館見学と庭園散策を行った。当日は本館内を佐藤祐子さんがボランティアガイドしてくれる日程に合わせて実施した。参加者は8名。いつもの鑑賞会と比べると、建物・庭園散策のためか参加者は少なかった。庭園内は日曜と母の日と重なった為か見学者は多く、本館の荘厳な建物、バラ園の色鮮やかさが空間に溶け込んで、別世界に迷い込んだような錯覚を起こした。 反対に奥にある日本庭園は新緑一色で、バラ園とは対称的だった。

本館建物の特徴

 イギリスの建築家であるジョサィア・コンドルが、日本に招かれ古河虎之助の本邸として設計した建物である。大正6(1917年5月竣工)主構造はレンガ造りの2階建、こげ茶色の重々しい外観は、コンドルの設計である丸の内にある「三菱一号館美術館」や上野不忍の池の近くにある「岩崎邸」とは違った趣だった。

 古河庭園本館の特徴は、外観は西洋風であるが内部は洋間と和室が調和された設計であった。洋間はミニ迎賓館の造りに対して、和室は工夫が凝らされていた。また、風呂場やトイレも見学でき当時を偲べる貴重な見学だった。佐藤さんの滑らかな解説が、心地よかった

 コンドルの教え子には、「東京駅」「日本銀行本店」を設計した東大首席で卒業した辰野金吾や、「赤坂離宮(迎賓館)」や上野の国立博物館内にある「表慶館」を設計した片山東熊がいる。日本の建築家に与えた大きさが分かる。

 日本庭園の静粛さ

 バラ園の鮮やかさに比べ緑一色で華やかさはないが、いかにも日本庭園と感じさせる静けさを醸しだしていた。単に遊歩道を歩いて通り過ぎるだけではなく、暫く佇んでいたいそんな気持ちにさせる庭園だった。数週間前に名画の会で散策した六義園よりいいなと思ったのは私だけだろうか。秋の紅葉の時期にも来たいと思った。

 

 庭園散策後は駒込駅近くで懇親会をおこなった。庭園散策の心地よい疲れと、ビールの上手さに会話が弾み、少人数もいいなと感じさせた「都立古河庭園」散策だった。

(渡邉 記)