「つむぐ会」(旧・月本ゼミ)活動報告 ~埼玉県新座市 平林寺訪問の記~

 

 12月12日、「つむぐ会」では新座市にある平林寺で「紅葉を見る会」を催した。今回は月本先生含めて総勢6名が参加した。午後1時30分発の東武東上線急行電車に乗って、池袋を出発。北朝霞駅で下車、駅前よりタクシーにて、いざ平林寺へ。当日は快晴とまではいかないが、この時期としては比較的暖かな天候に恵まれた。

 そして平林寺に到着。紅葉時期としては多少遅きに失する感もあったが、もみじの紅い葉が、あちこちに垣間見られ、あたかも我々の訪問を歓迎しているようだ。まわりの静けさの中でひと葉ずつひっそりと葉が地面に落ちる音が聞こえるような感じを受ける。

 境内に入るとその敷地の広さにびっくり仰天。総門、山門、仏殿、本堂と一直線に立ち並ぶ荘厳な建築といい、また、今では大変珍しい茅葺の屋根といい、あっという間に俗世間とは違う別世界に引き込まれた。 山門では修行僧が掃除に励んでいた。素足のままで雑巾がけをしているさまをみて、修行の厳しさに胸を打たれる。

 参拝客は我々の団体以外に、ほとんどいない。ほぼ独占状態で境内を見学する。本堂の裏手には武蔵野の面影を残す広大な雑木林が広がっており、我々は、その中を案内板に従って道沿いに歩を進める。所々に紅葉の名残があるが、残念ながらあたり一面ほぼ落ち葉状態。

  そこで一句詠む。「枯葉踏み 残り紅葉を 友と愛で」(詠み人:大箸さん)

 林の一角には「島原の乱」供養塔(島原の乱、200年遠忌に、犠牲となった士卒や庶民のための建立)や「前田卓の墓」(夏目漱石『草枕』に登場する「那美」のモデルとされる)などの下卵塔(しもらんとう)(注)が立ち並ぶ。勿論、月本先生の名解説がフル稼働。

 (注)卵塔とは主に禅僧の墓をいう。平林寺の歴代塔所に対して下手にあることから下卵塔と呼び、松平信綱の家臣や、平林寺ゆかりの人々が葬られる。岩槻から改葬された墓も多い。

 さらに、県の指定史跡である「松平信綱夫妻の墓」や大河内松平家の墓が数多く安置されている場所がある。その様は何とも形容しがたく、これほどの大名一族の墓が一か所にまとまって残っている例はあまりなく、全国有数の廟所であるという。

 林の中の道をさらに進むと、その外れにひっそりと「業平塚」が鎮座している。かの昔、歌人の在原業平が休息をとった場所という。業平さん、当時はカラスや野鳥の鳴き声に囲まれて、一句ひねりながらゆっくりと休んだことであろう。

s_20161212_190508 そうこうしているうちに、時も更なり。予定の時間になったので電車にて池袋へ舞い戻って、忘年会の会場へ向かう。あとは、いつもの通り。忘年会のみ参加の1名が加わり、それぞれの近況報告とこの一年の出来事を報告しあって、酒宴が大いに盛り上がった。

次回の「つむぐ会」は3月頃に開催することを確認し、早めの帰路についた。

皆さん、お疲れ様でした。

(文責・橋詰)

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八期生編集チーム