4月8日(水)朝、私はJR特急「かいじ7号(甲府行き)」の車中にいた。立川を過ぎたあたりでは、雲一つない青空に雪をかぶった富士山がくっきりと浮かびあがり、幸先のいいスタートだったが、笹子トンネルを抜けて甲府盆地へ入ると残念な結果が待っていた。勝沼ぶどう郷駅付近の桜並木はすでに葉桜状態となり、塩山から石和温泉にかけての桃の花はピークを過ぎ、桃源郷と言われるピンクのグラデーションを眺めることができなかったのだ。それもそのはず、今年の甲府の桜の開花は平年より9日早い 3/16。高知、岐阜と並び全国のトップを切っていたのである。

気を取り直して甲府駅で下車。まずは甲府城の天守台に登り、甲斐の山々を見渡してみた。なるほど、これは絶景だ!西側は甲斐駒ヶ岳から続く南アルプスの山並みを一望でき、南側は山頂部しか姿を見せないものの、どっしりと構えた富士山が甲府の街を見下ろしている。桜の花が散った後は、芽吹いたばかりの若葉が一気に輝きを増してくるのだろう。

名物“ほうとう”で腹ごしらえをした後は、甲府から太平洋側を目指す身延線の列車旅。この路線の見どころは約30kmにわたって列車と並走する富士川の眺めと、富士宮の街を抱きかかえるように裾野を広げる富士山の大パノラマだ。

富士川は最上川と球磨川とともに日本三大急流の一つだが、渇水期なのか川底が露出して、豊かな水の流れとは言い難い状況だった。今年の冬は日本海側が大雪。太平洋側は極端な少雨で山林火災が頻発している。気候変動はさらに激しさを増すかもしれないが、現在の富士川流域が危険な乾燥状態でないことを祈るのみである。

列車からの富士山のビュースポットとしては、東海道本線(新幹線)の富士川橋梁が有名だが、身延線からの富士山の眺望も圧巻だった。富士川を離れた列車が半円を描くように北に向きを変えると、右側の窓に富士山と富士宮の街並みが現れる(写真上右)。そして、今度は大きく右に回り込みながら坂を下り、富士山を進行方向左側に移動させて、富士宮の駅に滑り込んでいく。車窓の景色を楽しむなら、在来線のスピードが好ましい。

4月14日(火)昼、私は栃木県南部の「天平の丘公園」にいた。ここは下野国分寺・国分尼寺跡の歴史的資源を活かした公園として整備され、約500本の桜が植樹されたそうだ。そして今、国分尼寺跡の八重桜が見頃を迎えていたのである。

この地を訪れた理由を述べておこう。Kissの会:ゲスト投稿no.139「天平の遺産を訪ねて」(須藤とく子さん:2/21掲載)を読み、私の実家に近いこの公園に出かけてみようと思っていたのである。山梨の“桃源郷”には出遅れたが、東北道を北上することで、今年の春を記録する写真を確保することができた。

4月17日(金) 気象庁は最高気温が40℃以上になる日の名称を「酷暑日」とすると発表した、今年も心地よい春は足早に過ぎ去り、災害級の暑さがやってくるのだろう。街路樹のハナミズキやツツジもいつもより咲き急いているように感じられた。

4月19日(日)午後、出かけたついでに足立区の都立舎人公園に立ち寄った。茨城のひたち海浜公園まで行かなくても、海のように広がるネモフィラブルーを見られるとのことだった。しかし、この日は最高気温が25℃越えの夏日を記録。カメラを構える私の背中には夏の日差しが容赦なく降り注ぎ、休日の午後で人出も多く、長居はせずに、そそくさと退散することになったのである。

「行く春を近江の人と惜しみけり」(芭蕉)
この句は琵琶湖のほとりに舟を浮かべ、春を惜しむ情景を詠んだものだが、四季から二季へと移りつつある中で、芭蕉の風雅を感じとるのは一筋縄ではいかないようだ。(7期生 石巻)

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