RSSCホームカミングデー2024に寄せて

野呂芳明(RSSC本科ゼミ担当教授)

 今年2024年4月から初めて本科ゼミを担当しております。

 自分自身が「高齢者」の仲間入りをした今、“ご同輩”といえる方々に対して授業をおこなっていることに今もまだ少し不思議な感慨がある一方、刺激されることが多々あり楽しく過ごさせていただいております。

 ずっと若かった30歳代前半から数年間、「高齢者の生きがい」に関する共同研究に参加したことがありました。東京都内や海外(シンガポール、台湾)調査に出かけたほか、その流れで「世田谷老人大学」で何年間か授業を担当したこともあります。それぞれの場でさまざまな活動をしている高齢者の方々やその支援をしているスタッフの人たちと話し意見を交わした経験や、授業の場で驚くほど真摯に学び鋭い質問を投げかけてくる人たちとやり取りした経験は、当時の私にとって非常に大きな意味がありました。

 しかし、まだ半年とはいえRSSCの本科ゼミ担当を通してゼミ生の皆さんと一緒に継続的に勉強するようになり、改めて振り返ると30年昔の自分の理解はまだまだ浅かったと痛感せざるを得ません。勤労や子育てを終えた後、長寿化によりとても長くなった「老後や余暇時間の有意義な過ごし方」というかなり図式化された問題の立て方に、自分自身もやはりどこかしら囚われていたのだと思います。

 「学ぶ」という体験、「学びたい」という欲求は、老後や余暇の時間がぐんと増えるから生まれたり高まったりする。たぶんそれは間違ってはいないでしょう。しかし「現役」「老後」のような人為的区分とは関わりなく、学びへの欲求や学習の実践はもっと本質的というか深い部分で私たち1人1人が過ごす人生という時間の中に組み込まれている。だからこそ「学び」は「生きがい」と深く関わってくるのでしょう。

 RSSCは、非常に的確に私たち「セカンドステージ」に身を置く世代のニーズに応えているのだと思います。設立に尽力し発展に貢献されてきた先達の先生方や学生の方々に深い感謝と敬意を表し、自分自身も微力ながらお役に立てればと考えております。

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編集チーム 十六期生