農山漁村が都市の私たちに教えてくれること

「サステナブルコミュニティの思想と実践」担当講師
大和田順子(教育テック大学院大学 教授)

 2021年4月に、同志社大学総合政策科学研究科ソーシャル・イノベーションコースの任期付き教員として京都暮らしを始めました。東京生まれ・育ちでしたが、60歳を過ぎて初めて京都から東京や地方を考える視点を得ることができました。RSSCの講師は2008年から務めていますので、今年で16年目、今ではすっかり皆さんと同じ世代になりました。

「サステナブルコミュニティの思想と実践」では、食料やエネルギーの自給率がほとんどない都市に暮らす私たちの暮らしを農山漁村や世界が支えてくれていること。一方、農山漁村の多くが過疎・高齢化し、持続可能性が危ぶまれている現状を確認します。そのうえで、SDGs の自然資本関連の目標に注目し、有機農業や生物多様性、関係人口、グリーンツーリズム等の取組を学びます。併せて、フィールドワークを通じ、都市農村協働による新たな価値創出(ソーシャル・イノベーション)や、サステナブルな暮らし・地域・社会について授業を通じてご一緒に考えてきました。

 また、この間、RSSCの皆さんと各地を訪問しました。2011年の東日本大震災からの復興支援として立ち上げから関わってきた「ふくしまオーガニックコットンプロジェクト」(福島県いわき市)のボランティアツアーをはじめ、「世界農業遺産」「SDGs未来都市」に選定されている宮城県大崎市では植樹活動を。また、近年では授業のフィールドワークとして“有機の里”として有名な埼玉県小川町にでかけています。さらに、今年6月には「世界農業遺産」「SDGs未来都市」に選定されている日本一の梅の里で有名な和歌山県みなべ町に、梅の収穫を手伝う「梅収穫ワーケーション」に3名の方とご一緒したところです。このような座学とフィールドワーク、体験を通じ、多くのことを学ぶことができました。参加くださったRSSC生の皆さん、地域の皆さんに感謝申し上げます。都市の私たちに、災害の被災地や農山漁村に対して、どのような貢献ができるか、これからもご一緒に考え・行動してまいりましょう。

小川町フィールドワーク霜里農場の金子宗郎農場長と記念写真(2024年9月10日)

※参考図書:詳しくは以下をご覧ください

『アグリ・コミュニティビジネス』(2011年、学芸出版社)
『SDGsを活かす地域づくり』(共著、2022年、晃洋書房)
『コミュニティ・デザイン新論』(共著、2024年、さいはて社)

この記事の投稿者

編集チーム 十六期生