10月15日の「立教セカンドステージ大学同窓会ホームカミングデー」に、『アドラー心理学を実践に活かす』を受講した現役生・修了生が共に学ぶ同好会「RSSCあどらーカフェ」(顧問箕口名誉教授、代表8期青木さん、副代表12期五十嵐さん)の活動内容を、アドラー心理学のほんの一端(“魔法の言葉”)を紹介しながら、授業の中でも使われるロールプレイの手法で説明する機会を得ました。
アドラー心理学では、「困難を克服する力」を勇気と呼び、その為の活力を与えることを「勇気づけ」と言います。他者を勇気づける基本ワードとして、三つの“魔法の言葉”があります。「ありがとう」「嬉しい」「助かる」の三つです。但し、この“魔法の言葉”は、使わないと錆びついてしまうともいわれます。また、「勇気づけ」は、ほめることとは異なり、感謝の気持ちを伝え、友好的に、共感的に接する「ヨコ」の関係(対等な関係)に立つかかわりです。反対に、批判する(タテの関係に立つ)ことで勇気を失わせることを、「勇気くじき」と言います。
魔法の言葉を使った他者への勇気づけによる効果には、次の三つが挙げられます。(八卷秀著『定年後の人生を変えるアドラー心理学』より)
①信頼関係を築く⇒勇気づけをした相手とは良好な人間関係を築くことができる。
②劣等コンプレックスの克服⇒自己評価が低くなっているときに自信を取り戻す効果がある。
③自律性を高める⇒結果にとらわれず自分ができることを考えて行動できるようになる。
実際、自分の人生を振り返ると、何人かの「勇気を高めてくれた人たち」を思い出します。中でも一番勇気づけられ、助けられたと、今でも時々思い出すエピソードがあります。
大学を卒業し、金融機関に入社してちょうど5年目ぐらいの時だったと思いますが、長時間、分単位の時間に追われ、間違いが許されない職場環境で、数々のプレッシャーにも慣れてきたころでしたが、なぜか(今では理由をはっきりとは覚えていませんが)急に自分のやっている金融の仕事がいやになり、福祉関係や社会貢献の仕事に就きたいと考え始め、会社を退職し、学校で必要な知識を学び直そうと決意しました。
退職届が受理され後任も決まり、同僚からは送別会を開いてもらい、贈り物までいただきました。ところが、退職日が日に日に近づくにつれ、経済的にも、慣れ親しんだ職場を離れることにも、どんどん不安になり、退職日の2,3日前に、遂に「ダメ元」で、直接支店長に「退職を撤回することは可能でしょうか」と相談に行きました。すると支店長は開口一番に、「それはよかった。嬉しいよ。ありがとう。すぐに人事部長に撤回の手続きをしてもらう。」と、全く予想もしていなかった言葉とともに、その場で人事部に電話をしてくれました。その時、「助かった。嬉しい。今度こそ頑張ろう。」との気持ちが自然と湧き上がってきました。
その後、約20年間、競合他社との合併で転職することになるまで、様々な困難を何とか乗り越えながら、精一杯勤務することができました。今では、この出来事を思い出すたびに、三つの“魔法の言葉”で、だれかを少しでも「勇気づけ」できたらと考えるようになりました。(7期生 北原)
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