8月23日はコロナ禍の一時終息に伴う野外見学会。炎天下、時折の雨により蒸し暑い中、名画鑑賞友の会8名の参加となった。東京大学駒場内フランス料理「橄欖(かんらん)」にて昼食としたが、コロナ禍になってから、久々に会う方もいて、一時間はあっという間に過ぎてしまった。

1.日本民芸館見学

 日本民藝館は、「民藝」という新しい美の概念の普及と「美の生活化」を目指す民藝運動の本拠として、1926年に思想家の柳宗悦(1889-1961)らにより企画され、実業家ら多くの賛同者の援助を得て、1936年に開設された。
 柳宗悦の審美眼により集められた、陶磁器・染織品・木漆工品・絵画・金工品・石工品・編組品など、日本をはじめ諸外国の新古工芸品約 17,000点が収蔵されており、その特色ある蒐集品は国の内外で高い評価を受けている。

聖像・仏像・彫像 柳宗悦が見た「彫刻」展(6/29~9/3)

 近世の神仏像には、庶民信仰を対象とした素朴な造形が見られる。朝鮮半島の仏像や中国の明器、東アジアの彫像、仮面など素朴な民間彫刻が展示されている。


このふくよかな仏像は何を・・・
庶民の幸せ世界の平和を思わずには・・・
柳は哲学者であり、『白樺』派からの流れをくむ理想主義者的人格者であり、庶民の生き方と芸術の一致をみいだした人ではないかと感じた。



2.旧前田侯爵邸見学

 日本民芸館から、瀟洒な住宅街を歩くこと10分で、目黒区立駒場公園へ着く。石造りのいかめしい門を入ると、左手に木の間隠れに和館が見えてくる。さらに奥へ進むと、若草色の屋根に赤レンガ張りの洋館が現われる。この洋館と和館が、旧前田家本邸(加賀100万石)である。

 和館は、主に外国からの賓客をもてなすために建てられて、四季折々の前田家の行事に用いられた。木造2階建て近代和風建築で庭園側から見ると銀閣寺とプロポーションが似ています。茶室や待合いも備えています。

 洋館は家族の生活の場であるとともに迎賓館としても利用できるよう設計された。四季折々の園遊会やパーティーの折に邸宅を訪れる人々は、田園の野趣残る駒場の地に建つ英国風の重厚な洋館と、瀟洒な和館佇まいに目を見張らせたに違いない。

 いつも昔の建物等を見て感じることであるが、昔の階級社会はそれなりの文化を残したと思うが、今の格差社会は何を残すことができるのだろうか。どこに行っても同じ駅舎、超高層ビル群等100年後に人々が見て歩きたい街であろうか。

名画鑑賞友の会 8期 太田美奈子