生活習慣病や生活機能低下の予防と、季節の風を楽しむためにウォーキングとテレビ体操が私に継続ができる運動習慣となり、「フレイル」という言葉が少し遠ざかっていたと思っていた。しかし現実はそう甘い物ではなかった。昨年の人間ドックの結果は、右肩上がりで上昇している項目が多くみられた。ヘモグロビンA1c(以下HbA1cとする)、体重、BMI(体格指数)、腹囲、中性脂肪の数値が綺麗に右肩あがりに上昇していた。確かに基準値オーバーではないが、このままでは内臓脂肪が蓄積されメタボリックシンドロームが心配になってきた。
中学や高校時代の友だちと話していると、HbA1cの数値が高く再検査になってしまったことで異様に盛り上がってしまった。当然同級生だから同じように加齢による現象が始まっているが、数値に一喜一憂する年齢になってしまったことに笑ってごまかしていた。
広辞苑には「ごまかす」は人目を欺いて悪いことをすると記載されている。笑ってごまかしていると、身体の中に悪いことが着実に生じてしまうと心配していた時に、私の人間ドックの結果を見て、主治医から「HbA1cの数値を少し下げる努力をしてください」と指摘された。
わかっているが先に進めないでいると、本屋で「やせる科学」という本に出会った。手にとってみると、健康的にやせるために最新の科学知識を身につけましょうと書いてある。もう一度、人が太る仕組みや代謝のメカニズムを頭の中でしっかり整理をすることが必要だと感じた。土井善晴さんの本に「人は五感と経験に照らし合わせて、良い食品か悪い食品かを判断し、更にお料理から楽しみや様々な感情を得ることができます。」という一節があったことを思い出し、「やせる科学」という本は、私の五感と経験から良い本だと判断することができ購入した。
本の内容は、太る仕組み、代謝の仕組み、科学的に正しい食事について等があり、読み進めていくと私の脳は、「今こそ行動の時」と囁いてきた。具体的な方法を探していると、本の最後にやせるための科学的に正しい運動があった。ウォーキングやテレビ体操を続けることも大事だが、レジスタンス運動(筋肉に抵抗をかける運動)を行って筋肉量の増加をする必要性を強く感じた。そして、筋肉は糖質の8割を取り込み血糖値の調整を担っているので、筋肉量が増加すればHbA1cの数値も低下することができることを再確認した。
初心者や高齢者、持病のある人向けにスクワットによるスロートレーニングで足腰を鍛える方法が図解入りで丁寧に書いてあった。読み終えてから反省をすることがあった。それは朝日新聞2020年4月22日の切り抜きである。シニア世代の健康を保つためにスクワット、もも上げ、ひざ伸ばしの方法が掲載されていて、新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐために家に閉じこもりがちだった時期には、一生懸命実行していたのに忘れ去っていたのだ。しかし今回は目の前にHbA1c6%の数値がチラチラしているので、スクワットによるレジスタンス運動を始めた。
5月になると、スクワットと食事の見直しが功を奏したのか、HbA1cの数値は目標である5%台となり、体重も1ヶ月に1kgのペースで減少していった。20代の時に読んだ「読むだけで痩せる」という本のことを突然思いだした。読むだけでは痩せることは不可能だと思いながらも購入してしまったが、そこには名言「あなたの意志しだい」と最後のページにあった。これこそが大事なことだ。「意志」の継続によって、HbA1cの数値や体重を減少させることができるのだ。しかし、血液検査の結果から栄養状態も良好であることを確認しなければ、本当の意味での右肩上がりからの脱却にならないので、6月の採血を少しだけ楽しみにして、これからもスクワット運動を続けていくことにする。
(7期生 金子)
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