RSSC専攻科を修了してから3年が過ぎ、日々の生活への潤いも減少気味の最近。埼玉の田舎に暮らしていると、中々自分の五感を刺激してくれる様な出来事に巡り会うことが少なく、このままでは早く“老いぼれ爺さん”になってしまうのではと危機感を募らせている。
そこで刺激を求め、週に一日は都内に、そして月に一度は銀座界隈を散歩することを生活のアクセントにしている。ただ目的無しにブラブラしても面白くないので、視覚満足のために画廊を巡り、味覚を満足させるために安価で美味しいお店探しを捜しながら散策をしている。
銀座で一番有名な日動画廊や藤田嗣治と関係のある ギャルリーためなが など、素敵な絵を沢山鑑賞できる画廊から、チョット変わった所では高級ブティックで有名なエルメス、化粧品メーカーの資生堂やポーラのビルにも独特なアートの常設展示ギャラリーがある。
絵画に関しては自分の好みがハッキリしているのだが、その他のアート作品は『良くここまで作ったなぁー!』と感心させられるものから『全く理解不能、意味不明』の作品まで多岐にわたり、近年この様な作品が増えているように感じる。
最近、ウィークエンドに銀座中央通りを歩いていると、雑踏の中から聞こえてくる言葉の半分以上が外国語で、時々ニューヨークのマンハッタンにいるかのような錯覚に陥る。華やかで洒落たお店、様々な言語や粋な服装をした人々等。ただ、銀座の方がマンハッタンより綺麗で洗練され、ビジュアル的にも数段垢ぬけていると私は感じる。
『あー腹が減った。そろそろ飯にするか!』さて、今日は何を食べようか? やはり銀座は築地に近く海鮮品の美味しい店があちこちに沢山、だが予算には限りがある。『高くて美味しい』は当たり前、やはり『安くて美味いもの』を食べたい。
刺身、蕎麦、天麩羅、鰻、イタリアン・・・ 「そうだ、久しぶりに穴子でも食べるか」。銀座4丁目の交差点を築地方面に向かい2つ目の角を右折、すぐ右側に昭和レトロな感じの路地があり、その一番奥に目的の“あなご屋”がある。名前は『あなご屋銀座ひらい』、日本橋高島屋の裏にある『あなご屋玉ゐ』の系列店だが、外観は古い大衆食堂の雰囲気で玉ゐとは大違い、ここが銀座だとは思えないようなロケーション。
実はこの店、今から5~6年前、昼時にお腹が空いて銀座4丁目界隈で美味しそうな店はないか?と探していて偶然見つけた。店の周囲の状況から『そんなに高い店には見えないから入ってみよう』ということで入り、“あなごのひつまぶし”を注文。3通りのあなごの味(①焼きあなご、②あなご+薬味、③お茶漬け)を堪能し、満足感に浸った記憶が思い出される。
値段は玉ゐに比べ、凡そ7~8割とリーズナブルな価格で美味しくいただける。しかし、3年位前に梅宮辰夫がテレビで紹介し、その後ミシュランガイドに載ってしまったため、今では行列が出来ることも多く、簡単に行って食べられなくなってしまった。
その他にもこの界隈にリーズナブルで美味い店が私のリストにいくつか載っているが、ひらい同様人気が出て入りづらい店になってしまうのではと少し心配している。
新しく『安くて美味い店』の開拓が急務だと最近感じ始めている。(7期生 柴田 修)
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