『ルーベンス展-バロックの誕生』鑑賞記  名画鑑賞友の会
日時:2018.12.20(木)15:00~17:00  場所:西洋美術館  参加者: 10名

 日本ではこれまで最大規模の「ルーベンス展-バロックの誕生」が、東京上野の国立西洋美術館で開催された。本展は,北ヨーロ最大の巨匠といわれたルーベンスと出会える稀有のチャンスであった。西洋美術フアンにとっては、見逃すことのできない展覧会である。
バロックとは「歪んだ真珠」という意味である。ルーベンスの絵画ファンは多い。それは、鮮やかな色彩と精緻、何よりも人物を躍動感あふれる筆力で描いているのが、多くの人を魅了するからであろう。

(恵まれた生涯)
 ルーベンスは北ヨーロッパ、フランドル(現ベルギー)に育ち、法律家の息子として生まれた。高い教養をほどこされたルーベンスは王侯貴族と交流し、ハプスブルグ家のネイデルランド総監夫妻の宮廷画家となった。「王の画家にして画家の王」と呼ばれ、文字通りその経歴が物語っている。国内外から次々に持ち込まれる注文を、助手や弟子たちを集めた工房で、分業体制によって創作した。華々しい経歴は絵画にいかんなく発揮され、歴史画に壮麗で躍動感あふれたバロック様式を確立、迫ってくる力感は、見る者を捉えて離さない魅力を表現していた。
家庭では、2度の結婚で8人の子に恵まれた。2度目の妻は16歳。絵画だけでなく、法律家、外交官としても活躍。幅広い知識人でもあった。

(画力はどのようにして身につけたのか)
 古代ギリシャ・ローマの彫刻に魅せられた。彫刻を通してデッサンの基礎を身に付け、また、ルネサンスのミケランジェロの模写を何度も繰り返し描いたという。特徴的なのは、1620年以降の作品に、男性裸体は筋骨隆々、女性は豊満な肉体美を感じさせる作品が目立つことである。裸体表現の見事さは、ミケランジェロの影響を色濃く残していた。

(キリスト哀悼 1602-02年 ローマ ボルゲーゼ美術館蔵)

 今回展示されている作品の中で印象に残った作品は「キリスト哀悼」である。
裸体のデッサン、巨匠の模写を繰り返した努力の結果身に付けもので、天才ルーベンスといえども努力なしには名声を勝ち得なかつた。
今回の作品展を鑑賞して、私的にはそんな思いをもった。

(画像は西洋美術館HPより)

 

(渡邉敏幸 記)

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八期生編集チーム