私のセカンドステージ

 生涯学習プログラムは、いまでは星の数ほどたくさんありますが、そのなかで同窓会組織をも つものは極めて少数です。そのRSSC同窓会には、立派なHPまであり、光栄にも寄稿の声かけをいただきましたので、この機会に同窓生のみなさまにエールをお送りすることにいたしました。

 私は、立教大学社会学部教員を定年退職後、21世紀社会デザイン研究科の特任教授として大学院教育を担うかたわら、笠原清志先生、坪野谷雅之先生たちとともに、RSSCの立ち上げにかかわりました。その後も、RSSC運営委員の一人として、1期生から7期生までのゼミ・講義を担当させていただきましたので、多くの同窓生を存じ上げており、おつきあいもさせていただいています。

 思い出話をしたくなるのはトシをとった証拠ですが、創立10周年を耳にすると、やはり設立準備の頃の格闘を思い出さずにはいられません。白い画布に絵を描くような仕事でしたので、RSSCのいわゆる建学の精神についても存分に熱い議論を重ねることができましたし、信じられないほどの多くの時間をかけてカリキュラムを練ったりしておりました。当時、同じ大学院特任教授に着任された評論家・立花隆氏が、設立準備のメンバーとして、また講師として、大変熱心にかかわってくださったことも忘れられません。10周年ともなれば、こうした開設準備期のことを知る人は少なくなりましたので、さらに私の印象に残ることを少しお伝えしておこうかと思います。

 まず、RSSCは、団塊世代の定年退職を意識して新しい学びの世界を展開する、という実に時宜を得たメッセージを掲げておりました。ところが、この「団塊」「定年」の響きはシニア男性問題へと短絡するらしいと知って驚いたのです。入学者予測を話し合った準備メンバーのなかに、え、女性も?そうか、女性も来ますか、とおっしゃった方がいたからです。私はこれにヒントを得て、RSSCのカリキュラムには、世代とジェンダー(性別)を意識した科目も不可欠だと感じ、自分が担当しようかと考えました。結果的には、私の心配に反して、入学者の性比はなかなかほどよく、安心いたしました。

 さて、いまでは当たり前に受講生のみなさんが立教大学池袋のキャンパスライフを楽しんでおられると思いますが、最初は学外(たとえばみらい館大明)での開設を考えざるをえなかったことを知る人は少ないかもしれません。結果的には、若い学生と同じキャンパスで学ぶことが可能になり、二つの共学―「男女共学」と「異世代共学」が実現していることは、本当に素晴らしいことだと思います。ただし、学内開講になったものの、当初は、ゼミは遠慮がちに夜間に置かれていましたから、今ほど池袋のナイトライフを楽しむことはできなかった、というのも昔話になりました。

 RSSCへのかかわりは、まさに私の仕事人生のセカンドステージとなりました。若い学生の「教育」から、シニア層のみなさんとの「共育」にシフトすることができたことは本当に幸運なことでした。誰が生徒か先生か、というRSSCの雰囲気のおかげで、だいぶ若返ることができたような気がします。役割上、多少先生らしく振舞わせていただいたこともあり、学びを学びだけに終わらせずに社会貢献を、というRSSCの精神を訴えてきましたが、口先だけではいけないと一念発起しまして、現在は、NPO法人学生支援ハウスようこそという団体(https://www.npoyokoso.com/)の代表として、児童養護施設や里親家庭から大学・専門学校に進学する学生の生活を支える活動をしております。私のセカンドステージの仕上げ段階に位置づけているこの活動にも、実はRSSCの同窓生が多数ご支援をくださっており、感謝の気持ちでいっぱいです。この場をお借りして、心からお礼申し上げます。

立教大学 名誉教授

庄司 洋子

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九期生・編集チーム