沼澤秀雄教授(右)との面談

沼澤秀雄教授(右)との面談

4月22日(金)、立教大学コミュニティ福祉学部スポーツウエルネス学科沼澤秀雄教授のいらっしゃるPRAC(ポール・ラッシュ・アスレティックセンター)を訪れました。沼澤先生は今年度、RSSCでも夏季集中講座を担当されることになっており、オリンピック・パラリンピックについてのお話をうかがい、私達がお手伝いできることを探ってみたいという思いがありました。

PRACに足を踏み入れるのは初めてでした。靴を脱いで部屋に入ると、若々しく精悍な沼澤先生がいらっしゃいました。もともと陸上競技が専門で「400Mハードルをしていた」そうです。貴重なお時間をいただき、興味深いお話をうかがうことができました。以下に、沼澤先生のお話の一部を紹介させていただきます。

「2020年東京大会」が決まる1年ほど前から、組織委員会と全国の大学がオリンピック・パラリンピックに向けて連携していこうという動きはありました。「東京」開催が決定して立教大学でも締結が決まり、「大学連携」に加わりました。現在は、年度ごとに計画書を出して活動しています。でも、「連携している」と言っても、組織委員会からバッジを100個ほどいただいて先生方に配っただけで、委員会から予算がつくという状況ではありません。費用は各大学で賄ってというのが現状です。イギリスチームが慶應大学のキャンパスを使って練習するという話がありますね。立教でもこの下のプールをパラリンピックの水泳選手にお貸ししていますが、さらなる誘致ができるかどうかはまだわかりません。

1964年の東京大会が日本社会にもたらしたレガシー(後世につながり遺せるような財産)は「新幹線と高速道路」だとよく言われますが、他に「トイレの男女のマーク(ピクトグラム)、ファストフード店のやり方(セントラルキッチン)、IBMによるコンピュータを使った記録測定、ALSOKの警備、スポーツ少年団」等があります。今はない国立競技場のあたりは64年五輪のHeritage Zone(文化的遺産地区)ですが、2020年大会のレガシーとしては、ベイエリアがどのように変わっていくかがポイントでしょうか。丹下健三氏が設計した代々木体育館は形が斬新であった上に、その後もランドマークとして、またスポーツ施設として、よく利用されているので評価されています。

NHKスポーツアナウンサーの西田善夫さんは立教の池袋と新座に7年ぐらい講義に来て下さっていた方で、残念ながらこの3月に亡くなられたのですが、ある時学生に「なぜパラリンピックをTVでやらないのですか?」と質問され、憤られたことがありました(視聴者が望まないから、ということだったのですが)。2020年を控えて、パラリンピックの捉え方は少しずつ変わってきました。ロンドン大会ではパラリンピックにもすごいお客さんが入っていました。障がいを持った人こそスポーツを、という考え方も浸透してきています。2020年東京大会でも、ロンドンのように、オリンピック同様、パラリンピックも盛り上がらないといけないと思います。
(先生のお話のご紹介は以上です。)

☆なお、沼澤先生から、5/28、6/11、7/16の各土曜の3・4・5限に全学共通科目総合系コラボレーション科目「オリンピック×学生=レボリューション」の授業がありますが、人数にまだ余裕がありますので、ご興味のある方はどうぞ」というお言葉をいただきました。ご興味のある方は、当研究会までメールでお知らせください。
※連絡先:ori_para@rssc-dsk.net

今、私は、今年度、この研究会でどのように活動していこうか、自分は何ができるか、考えているところです。スポーツを「やる人」・「見る人」・「支える人」がいるなら、まずもっと「見る人」になろうと思っています。テレビや新聞でも、パラリンピックのことをよく取り上げています。今までスポーツに親しむことが少なかった私も、一歩踏み出す勇気をいくつもいただいている気がします。この5月はジャパンパラ大会があるのですよね。まだ、ブラインドサッカーしか行ったことがありません。出かけていかないと!

大日方邦子氏 本科講義

大日方邦子氏 本科講義

昨年10月15日にRSSCでパラリンピアンの
大日方邦子氏をお迎えして講演会を行いましたが、その時のお話が心に残っています。リレハンメルからバンクーバーまで実に5回ものパラリンピックに出場され、「アルペンスキー 金2・銀3・銅5」というすごいメダルの記録をお持ちの方です。3歳10か月の時に交通事故に遭い、右足を失くされました。

「一番好きな言葉は、ルードウィッヒ・グットマンの『失われたものを数えるな、残された機能を最大限に活かせ!』です。立ってスキーはできませんけどね、あれ、時速100キロも出るんですよ」
「2020年、東京で、パラリンピックが満員になれるかどうかは、みなさま方のご関心にかかっています。まずみなさんに知っていただき、人にも話して広めてほしいのです。 なぜ、満員にしたいのか? 会場のみなさんの応援はとても力になるからです。長野の会場からの歓声、すごい力をもらいました。あそこに向かって行くんだと思ったんです!」
そして、見事金メダルを取られたのですね。冬季パラリンピックで日本初の金でした!

また、昨年5月に立教大学 社会福祉研究所の第41回公開講座に出席した時、日本財団パラリンピック研究会代表の小倉和夫氏が話されたエピソードも忘れがたいものでした。
「1964年の東京大会で、当時皇太子だった天皇陛下が、『外国のパラリンピックの選手は元気で、社会人でもある。日本もそのようになりたい』と挨拶をされた。それが、東京大会のレガシーだったと思っている」

高齢者はみんな、ある意味、障がい者のようなものだとも聞いたことがあります。そういう人が生きやすい社会は、だれにとっても生きやすい社会でしょう。失くしたもの・持たなかったものにこだわるより、今の自分がやれることをやっていきたいですね。私達「オリ・パラ・レガシー研究会」メンバーは、「だれもが受け入れられる共生社会の実現」を目指し、できることを探していきたいと思っています。  (7期 安孫子)