「ふるさとは遠きにありて思うもの」これは室生犀星の詩の一部です。私は中学を卒業すると同時に家族から離れ、大阪、東京の学校に進学し、就職してからは、仙台、札幌、大阪、福岡と転勤し、旅行も含めて半世紀で日本の様々な地をめぐり、結果的には全都道府県に足跡を残す事ができました。
そして、60代の後半となり、今思う事は、やっぱり、ふるさとは素晴らしいと言う事です。私は長崎の造船業が盛んな町で生まれました。生家の道を隔てた向かいには世界遺産に登録された「小菅修船所跡」があり、ここは薩摩藩とトーマスグラバーにより外国船の修理を目的に明治元年に作られた日本で最初のドックです。建物は日本最古の煉瓦作り建築物と言われています。
5歳の頃に一人でバスに乗り通ったのはカトリックの「長崎マリア園」。ここは明治14年に作られた煉瓦作りのフランス様式の元修道会の建物で、1階が幼稚園で2階が養護施設になっていました。一説によると旧イエズス会の日本での最初の本部であったと言われています。残念ながら維持修復に多額の費用が掛かる事で教会と長崎市がギブアップし、森トラストに売却され、外観をそのまま生かした高級ホテルに生まれ変わるという事になりました。完成したら一度訪れてみたいと思います。
子供の頃、時々、親に連れられて行ったのは「グラバー園」です。ここは安政6年(1859年)に長崎に来住したグラバー、リンガー、オルト等の住宅を移築し公園にしたものです。長崎港が見渡せる絶景なので絵を描きに来ていた人が多くいた事を覚えています。
今年6月に、いとこの子供の結婚式で長崎を訪れ、大浦天主堂での結婚式に参加しました。国宝で結婚式が出来るとは知りませんでした。ここは江戸時代末期の開国後、元治2年(1865年)に建立された日本に現存する最古のキリスト教建築物です。世界遺産にもなっています。
そして最後に紹介するのは、「長崎原爆資料館」と「平和公園」です。1945年8月9日原爆投下の事実を世界に発信する為「原爆による被害の実相」「核兵器の無い世界を目指して」等のテーマに沿って、資料、写真、解説写真等が展示されています。隣には「国立長崎原爆死没者追悼平和記念館」が併設され、世界の多く国から平和を願う手紙や千羽鶴等が送られ飾られています。
平和公園には重さ30トン高さ9.7メートルの平和記念像が鎮座しています。天を指した右手は「原爆の脅威」を、水平に伸ばした左手は「平和」を、軽く閉じられた瞳は「原爆犠牲者の冥福を祈る」と言うメッセージが込められています。(7期生 馬淵)
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