立教セカンドステージ大学 8期生クラブ活動
名画(美術)鑑賞友の会 活動報告書(第7号)

 ≪ 鑑 賞 記 ≫

今回の「カラヴァッジョ展」は本人の作品点数が11点と多い、贅沢な展覧会だ。入口すぐの『女占い師』に迎えられ、会場の展示は、「風俗画」、「静物」、「肖像」、「光」、「斬首」、「聖母と聖人の新たな図像」とつづく。
image2鑑賞会前には、大箸渡さんの「事前学習会」が催され、カラヴァッジョの卓越した技法とともに、喧嘩に明け暮れ、ついには殺人者として追われる身になるという壮絶な生涯をご教示いただいた。
さて、作品についてですが、1点を選ぶとすれば『法悦のマグダラのマリア』image3
(1606年夏)である。イタリアで1610年に死んだときに所持していた3点のうちの1点であり、その後個人コレクションとなり行方不明、2014年に真筆であるとシ―ナ・グレゴーリ氏が認定し、今回が世界初公開である。何とあり難きシチュエーションであろうか。技法のすばらしさは解説者に譲るとして、「マグダラのマリア」の女性としての評価について触れたい。

 

マリアはイエスにつき従い、自分たちの持ち物を出して奉仕した婦人たちの一人である。イエスは彼女から7つの悪霊を追い出した。多くの罪が赦されたことはわたしに示した愛の大きさでわかる、と福音書に記述される。
教会の教父たちは、マグダラのマリアをキリストの弟子として、また福音の宣教師として傑出した女性として扱っている。復活したイエスの秘密の啓示は、マグダラのマリアを通じて伝えられたともされる。何に法悦して宙を見つめているか分からないが、イエスにより悪霊が追い出され、罪深き過去が消えた瞬間なのだろうか。カラヴァッジョもその犯した罪から逃れたかったに違いない。(小池久雄記)
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今回の鑑賞会の参加者は13名、鑑賞後、国立西洋美術館の前で記念撮影。その後場所を行きつけの秋葉原・銀蔵に移して寿司など食しながらの鑑賞発表会、いつのまにか話はあちこちに転じ、最後は、皆、満足顔で散会しました。

絵画クラブ活動報告書(第7回)

名画(美術)鑑賞友の会主宰 渡邊敏幸 tokyo.tomine-toshi@ezweb.ne.jp