引っ越しではないが次の住まいの住所は決まっている…。
大家族に嫁ぎ、若い時は毎日が一生懸命で身も心にも大きな負荷があった。寝る前に日記を書いて一日のストレスを解消、書くことで辛い気持ちを立て直し、今にみておれ‼という反骨で心を落ち着かせていた。当時は何にも要らない、願わくば唯一自由が欲しいと思っていた。4人の子供は手がかかるが気持ちは癒されていた。せめてあの世に入るときは実家の墓で、両親とゆっくり眠れたらと、叶わぬ思いにかられた。
当家の墓は荒川の土手内で、台風が来ると川が氾濫し墓地は土手から土手一面の川となる。河川敷の墓地・本堂の為、1990年頃、厚生省・建設省の土手改修工事の計画が提示され、スーパー土手が造成中で、現在に至っている。新墓地は、広さによる区画抽選が5年前に行われ、なんと1丁目1番地を当ててしまった。土手・本堂完成後は、檀家としての思いもよらぬ大きな付き合いになるのではと心配がよぎった。
先日、長女とお彼岸の墓参に出向いた。「お母さん、まだ実家のお墓に入りたいの?お父さんが待っているかもよ? 弟(長男)が来た時、お母さん居ないと寂しいじゃないの」と言われ、それもそうかと思った。
でも、この石の下に入るのは嫌だな…「お母さん、元気だから100歳以上まで大丈夫だよ。充分時間あるからね」嬉しい反面心の奥を触られたようではあったが、100歳まで頑張ろうと意欲がわいた。
叔父叔母弟妹も亡くなり、子供は独立し気がつけば今一人で寂しい。あの若い頃の気持ちは何だったのか。今思えば家風に慣れるための教育期間だったのか。嫁いで50余年も経過するとこんなにも穏やか毎日があるとは。自由とは、苦労の果てに、時がくれば自然に来ることが分かった。これからは体と頭が老けないように、体力・筋肉が衰えないよう良い食事と運動をし、誰の世話にもならないように気をつけて、あと18年頑張ろう!
振り返ってみると若い時は自分の未熟さの苛立ち、逆に大家族で助けられたことも多々あった。現在の社会は大抵が核家族で共働き、元気なお年寄りに少し手を借りれば安心して働けるし、少子化や子持ち様と言われることに歯止めがかけられるのではと思う。
大家族の嫁を卒業して姑の年齢になった今、昔ながらの生活様式が、良いのではということが少し分かった。空き家は増えるし勿体無い。人生は互いに我慢することで次に繋がる。今の若い世代の人達が理解するには少し無理かもしれない。
毎月一回3泊4日で来宅する長女が元気づけてくれる。「大丈夫よ、お母さん、気は若いし、顔はともかく、人様には見えないけど胃と腸はきれいだし、少し太りぎみだから、フラダンスの他にYou tube “地獄のダンス”をお勧めよ」遠慮のない言葉が続く「断捨離はやる必要ないと思うよ。その時は全部ゴミで処理するから…。もう一言、お母さん、お墓には誰も居ないこと知っている」そんな歌あったね。「そう、そこに私はいません。天の風(千の風)に乗って…。お母さんらしくていいじゃない!」ウン、その方がいいね。→千の風になって (youtube.com)
江戸時代から大勢の先祖が入っている当家の墓、善光寺真言宗智山派、 開創は鎌倉時代、このお寺が新住所になる。手続きはすべて子供たちがやるのだろうか。でも私はそこにはいません。天の風(千の風)に乗って世界中を旅しながら、子や孫達や下界が末永く平和であるように見守ります。その前に、死ぬ瞬間の意識ってどのようなものか?どのように・・・と切れていくのか、夜寝られない時にいつも考えてしまう。義父母、夫を見送っていても、思い出すと怖い。
(7期生 岩田)
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