月2回カルチャーセンターの「スポーツ吹矢」に通って3年になる。 きっかけは、体験教室に参加し、初めて的に命中した時の快音が心に強く響き、運動が苦手な私でも、楽しく続けられそうだと思ったからである。
「スポーツ吹矢」とは健康を目的としたスポーツである。円形の的をめがけて、息を使って矢を放ち、合計点を競う。的からの距離は5mから10mほどで、級・段によって異なる。「スポーツ吹矢」には「礼に始まり、礼に終わる」一連の基本動作がある。まずは的に向かって一礼をし、矢を入れた筒を高くあげ、鼻から息を吸う。筒を下げながら口から息を吐ききる。的を見て息を吸いながら、一気に吹く。最後に呼吸を整えて、的に向かって一礼する。この動作が深い呼吸をもたらし、美しい形を作り集中力を高めて体に活力をもたらす。
始めた頃は、矢を吹く時に一気におなかがへこむという感覚を実感するのは難しかった。しかし、練習を重ねるごとに出来るようになり、翌日には腹筋が痛くなることもあった。背筋をピンとして、集中力を高めることを意識するようになってからは、普段でも姿勢を気にするようになった。
競技では、5本の矢を吹いて1ラウンドとし、的の中心から7点・5点・3点・1点と決められている。合計点を点数表のボードに各々記入して、6ラウンドを競い合う。ボードに合計点を記入するために、その場で暗算で計算をする必要があるので、脳の活性化に繋がる。練習で初めて35点満点がでたときは、嬉しくて思わず写真に撮ってしまった。しかし、同じ呼吸法で吹いているつもりでも、その日の心理状態や体調などで、点数が良い時と悪い時がある。集中して吹いてるつもりでも、雑念が入ると予想外の所に矢が飛んでしまうのだ。一見、矢を的に当てる単純なスポーツに思えるが、実はとても奥が深い。そこが魅力なのかもしれない。
大会に出場した際には、シニア世代のパワーを強く感じる。上位を争う人たちの吹いている「凛とした姿」を見ると多いに刺激を受け、いつか自分も上位争いが出来るような実力を身に付けたいと、新たな目標が生まれる。教室の仲間とは、吹矢だけでなく、健康のことを話したり、ガールズトークに花が咲き、楽しい時間を過ごせることも、「スポーツ吹矢」をやって良かったと思える瞬間だ。近頃では、新聞やテレビなどで、取り上げられることが多くなったことで、興味を持つ人が増えてきたことがとても嬉しい。
私が、RSSC本科に通っていた時、ある講演会後、参加者がいくつかのグループに分かれて、「シニア世代の地域の役割」について話し合う場があった。「自分を含め高齢の同じマンションに住んでいる方々のコミュニュケーションの場所を作りたい」と言ったことを思い出す。あくまでも希望であるが、シニア世代にピッタリの「スポーツ吹矢」をマンションの住人の交流の場として提案できたらと思っている。それには、私自身がまだまだ精進しなければならない。
私がスポーツ吹矢の効果で一番期待していたダイエットの目標はまだ半分にも達していない。原因のひとつは教室後の仲間と食べるおいしいランチにあるのかもしれない。これからも、楽しく目標を持って、「生涯スポーツ」と言われる「スポーツ吹矢」を続けようと思う。(七期生 中島香代子)
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