国立トレチャコフ美術館所蔵『ロマンチック・ロシア展』名画(美術)鑑賞友の会

 2019年1月の初回名画鑑賞会

 

 渋谷東急文化村ザ・ミユージアムで開催されている「ロマンチック・ロシア展」を鑑賞した。中庭に華開いたテラスは素敵だった。渋谷駅前の喧騒とは違って、都会の静粛さを感じさせた。これから観る「ロマンチック・ロシア展」の思いをいつそう強く抱かせた。今回の展覧会はロシアの作品がまとまって鑑賞できる絶好の機会であった。

作品は72点あり時間が足りなかった。全体を通して印象深かったのは、3点あった。

①美術展というと鑑賞者はいつも女性が多かつた、ロシア展は中高年の男性が目立った。
②作品に付けるネーミングが洒落ていた。例えば「忘れえぬ女」「月明かりの夜」等ロシアのイメージとは似合わない。雪に覆われた季節が長いためか、生活している人達は意外にロマンチックなのかもしれない。
③1870年代から1900年代の作品が多かった。写実の作品が多く理解しやすかった

カメラが発明されたのは1830年頃、その影響でヨーロッパでは、写実絵画から印象派絵画に移行していったが、ロシアではその面影は感じなかった。

印象に残った作品は「忘れえぬ女」「月明かりの夜」「秋の朝」だった。

『忘れえぬ女(ひと)』

クラムスコイの名作。男性たちを釘付けにする女性。トルストイの小説「アンナ・カレーニナ」とも言われている。技法では、人物を引き出すため、後ろの景色は暈して描いている。

 

 

 

『月明かりの夜』

同じくクラムスコイの作品。大作で庭園で物思いにふける白いドレスの麗人を叙情的に描いている。

 

 

 

 

『雨傘の樫林』

森の中を歩くカップルを描いている。映画のワンシーンを観ているようで吸い込まれそうな深い森が印象的だった。

 

 

 

 これほど多くのロシアの作品を一堂に観た記憶はない。鑑賞後の懇親会でも観て良かったという声が多かった。感想もゆったり聞くことができた。ロシア旅行を計画されている方が羨ましかった。 懇親会場の「大人の隠れ家」である「巌」と共に、暫くは余韻に慕っていたい美術展だった。

(渡邉敏幸 記)

絵画画像はCinefilHPより引用

Bunkamura 30周年記念「国立トレチャコフ美術館所蔵 ロマンティック・ロシア」

cinefil.tokyo/_ct/17236604

この記事の投稿者

八期生編集チーム