我が家に春を知らせてくれるのは、庭にある1本の梅の木です。種類は分かりませんが、優しいピンク色の花を付け、鼻を近付けるとほんのり良い香りがします。昨年は、蕾のうちに庭にやって来た鳥達の餌になってしまい梅花を見ることが出来ませんでした。今年は、沢山の花が咲きこれから咲きそうな蕾もあるので、梅の収穫も期待できそうです。数年振りに特製梅ジュ-ス(生梅と氷砂糖に酢を入れます)を作ろうかと思っています。暑い夏に氷水で割って飲むと美味です。疲れがとれますよ。お試しを!

梅の産地は和歌山県が有名ですが、群馬県は和歌山県に次いで梅の収穫量全国第2位なんです。3月は梅の花の真っ咲かり。桜の前に梅の花の鑑賞もいかがでしょう。先日、「ぐんま三大梅林」の一つ「秋間梅林」を数十年振りに訪れたのですが、周辺の山々を背景に広がる数万本の梅林は、紅梅、白梅など幾種類もの花の美しさばかりでなく、花毎に異なる香りも楽しませてくれました。(写真:上右)

お花見と言えば、やっぱり桜です。そのお花見を、現役で仕事をしていた時は、年度末、新年度、人事異動などで忙しく、殆ど出来ませんでした。気付いた時には葉桜。3年前にリタイアしてからは、今まで観られなかった分を取り戻すように、あちこちに出掛けて行きお花見を楽しんでいます。スマ-トホンに保存した写真だけでも結構あったので、自分でも驚いています。花の種類は、寒い季節から咲く寒桜、枝垂れ桜、八重桜、春を一番取りする河津桜など、名を知らぬ桜も沢山ありますが、なんと言っても染井吉野が圧倒的に多くお馴染みです。なぜ桜の木の下に人々はこんなに集い浮かれるのでしょう。かく言う私も桜を観ると嬉しくなって、スマ-トホンをカメラモ-ドにしてしまうのです。


20代の頃、姉が持っていた水上勉著「桜守」の単行本を読んで、山桜の透き通るような花弁が1枚落ちてくる光景が、私の瞼にずっと残っていました。その後、自分で文庫版を買って、「いつか読み返そう」と本棚に入れて置きましたが、読み返したのは一月前でした。

”桜山を守る植木職人主人公の弥吉が、祝言の後の新婚初夜のために用意して貰った旅館を断り、桜山の番小屋で「満開の桜みて泊まりおす」と望んだ。新婚初夜に、満開の楊貴妃の花弁が一つ、小貝を付けたように嫁の園の髪についていた。弥吉はうっとりとそれを眺めた”

私の瞼に浮かんだ光景は記述にはありませんでしたが、山桜の木からひらりと落ちてきた透き通った花弁が園の髪に落ちたのでしょう。

小説に登場する桜研究家竹部庸太郎は、「古代より日本の伝統の桜は朱のさした淡緑の葉とともに咲く山桜(里桜も含む)だ、近頃、流行っている染井吉野は違う。」「桜はうしろに常盤樹をめぐらせて屏風にしなければ映えない。これは常識だった。空に向って咲くのでは空の色に吸われるのである。」と主張しています。

今、日本の桜の実情は90%が染井吉野であり、公園や川沿いに植えられ、私たちの目を楽しませ心をウキウキさせてくれます。そんな染井吉野の花を私は好きです。桜の開花予想も話題になり、「見頃はいつ?」かが気になるところです。しかし、種類はいろいろあるでしょうが、淡緑の葉とともに咲く山桜、透き通るような花弁を、私はとても愛おしく思うのです。染井吉野の見頃が終わった後、新緑に映える山々のなかに薄いピンクがかった山桜を見つけてみませんか。(7期 笛田)

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